2017 Fiscal Year Research-status Report
Re-examining Security Governance
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17K03605
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
足立 研幾 立命館大学, 国際関係学部, 教授 (70361300)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | セキュリティ・ガヴァナンス / 安全保障 / 非国家主体 / 常備軍 / コスタリカ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、これまで行われてきたセキュリティ・ガヴァナンスに関する先行研究の整理と、その問題点の抽出を行った。様々な地域研究者の協力を得て、東南アジア、アフリカ、中東などの地域で、セキュリティ・ガヴァナンス概念を用いるといかなる分析が可能かの検討を進めた。とりわけ、中央政府が、単独で安全保障を提供する能力を十分に有していない際に、いかなる形で安全保障確保が試みられているのかという観点から分析・検討を進め、従来のセキュリティ・ガヴァナンスの問題点、すなわち西欧の事例中心に議論を組み立てることに伴う理論的歪みを指摘する研究成果をまとめ、『セキュリティガヴァナンス論の脱西欧化と再構築』として刊行した。 そのうえで、こうした理論枠組みを用いて、これまで十分に検討されてこなかった、「暴力を独占していない国家」による安全保障政策はいかなるものなのかを探るべく、適切な事例選定作業にとりかかった。まずは、政府の安全保障提供能力が極めて低い国の分析を進めるべく、ソマリア、ブータン、コスタリカなどの事例の検討を集中的に行った。そうした予備的検討を踏まえ、常備軍を持たないコスタリカが、なぜ常備軍を廃止したのか、常備軍なき中でいかに安全保障政策を進めているのか、そこからセキュリティ・ガヴァナンス論にいかなる理論的貢献ができるかということを中心に検討を進めた。その成果は、「常備軍なきセキュリティ・ガヴァナンス―コスタリカの事例」と題した論文にまとめ、刊行した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理論的検討部分については、これまでの予備的調査の結果をまとめ、書籍として刊行して提示することができた。また、そうした理論枠組みを用いた研究を行う事例の選定作業も順調に進んだ。現地調査は実施できなかったものの、一国目の事例研究となるコスタリカの事例分析もほぼまとめ終えることができ、その成果も年度内に論文として刊行することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究は順調に進展している。平成30年度以降、さらなる事例研究を進めつつ、理論の精緻化へとつなげたい。具体的には平成30年度については、ミャンマーを取り上げるべく、文献調査と、現地調査の準備を進めている。
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Causes of Carryover |
当初海外調査を予定していたが、2017年度は、コスタリカを取り上げて事例分析を進めた結果、海外調査に赴かなくても、論文執筆を完了することが可能なレベルの資料を入手し、分析を進めることができた。そのため、翌年以降の海外調査、あるいは学会報告のための旅費を残しておくこととした。
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Research Products
(3 results)