2020 Fiscal Year Research-status Report
Re-examining Security Governance
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17K03605
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
足立 研幾 立命館大学, 国際関係学部, 教授 (70361300)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | セキュリティ・ガバナンス / 安全保障 / グローバル・ガバナンス / 規範 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、新型コロナウィルスまん延を受けて予定していたフィリピン調査が実施できなかった。そのため、フィリピンの研究者とのメールやズームでのやり取りを実施し情報収集に努めた。その中で、新型コロナウィルス対応に関して、セキュリティ・ガバナンスの発想を踏まえつつ、日本とフィリピン、そしてインドネシアの対応を比較する議論を進め、その成果はJapan Association for Human Security Studiesにおけるパネル企画において 、“Consequences of Securitization of COVID-19 by Private Actors in Japan: Emergence of the “Voluntary Restraint Police” and its impact on Human Security,”と題した報告を行った。また、セキュリティ・ガバナンスの発想を踏まえ、中国の一帯一路構想の影響について考察する論考「一帯一路構想と国際秩序──グローバル・ガバナンスと国内ガバナンスへの影響」を、廣野美和編『一帯一路は何をもたらしたのか―中国問題と投資のジレンマ』勁草書房、2021年において刊行した。また理論的観点から安全保障と規範の関係についての考察も進め、その成果の一部は「核不拡散規範の行方―規範の消滅論の視座から」として執筆し、『国際政治』第203号に掲載予定である(2021年3月刊行予定も、2021年4月現時点で未刊)。全体としては、予定していた事例研究の深化は、十分には行うことができなかったものの、一帯一路の影響や、国際秩序、規範へのインパクトに射程を広げ、最終年度予定している理論的精緻化につながる分析を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルスのまん延を受けて、予定していた現地調査を十分に行うことができず、事例研究の蓄積において、やや予定よりも遅れがある。一方で、最終年度に予定していた理論的成果作業や、本研究が広く安全保障研究に対して有する意義について検討する作業を、先取りしてはじめている。
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Strategy for Future Research Activity |
現地調査を2021年度も十分に行えない可能性もあるため、現地研究者との情報交換を行うとともに、現地調査の可能性を追求する。その間、研究全体としてもやや理論研究に重心をシフトしつつ、現地調査が実行できなかった場合にも、十分意義のある研究としてまとめが得ていけるように進めていきたいと、現時点では考えている。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスまん延を受けて、予定していた現地調査が実施できず調査費が未執行となった。またアメリカでの学会報告も査読に通り受理されていたものの、中止、およびオンライン開催となったため、海外で開催される国際学会参加費の執行がなくなった。 2021年度については、海外調査実施の可能性をにらみつつも、それが難しい場合には、海外の研究者とのオンライン研究会、オンラインワークショップなどを実施することで、現地調査の不足を補いたいと考えている。もし、海外調査ができない場合には、海外調査予算の多くをそうした研究会の講演謝金などに充てていくことを想定している。
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Research Products
(4 results)