2018 Fiscal Year Research-status Report
China's Roles in Conflict-Affected Regions: The Realities of Non-Interventionism
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17K03606
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
廣野 美和 立命館大学, 国際関係学部, 准教授 (40757762)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 国際関係論 / 中国 / 平和構築 / 人道支援 / 紛争仲介 / 紛争解決 / 経済開発 / 開発援助 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の第2年目の活動として、研究の土台となる基本概念に関する論考を国際的に出版し、また基本概念を用いて実証研究を行い出版活動、研究報告活動を行った。また、ミャンマーと南スーダンに関する事例研究のためのフィールドリサーチを行った。本研究の目的に照らせば、以下の通りの実績があった。
(A)「中国政府の政策」:中国と日本の競合関係がどのようにそれぞれの国のアフリカ政策に影響を及ぼしているかについて検討し、国際的学術誌(The Pacific Review)で出版した。特に国連平和維持活動とODA活動に注目した。「不介入主義」:国際的・歴史的にこの概念がどのように理解されてきたのかについて検討し、国際共同研究の形で査読論文として国際的学術誌(The China Quarterly)で出版した。(B)「様々な中国アクターの活動」及び(C)「紛争・災害地域の人々の認識」:ミャンマー、ケニア、エチオピアで、現地の人々が中国の「国際的責任」をどのように認識しているかについてフィールドリサーチを行い、リサーチ中に行ったインタビューのテープ起こしをした(ケニア、エチオピアでは南スーダン人コミュニティーを中心にインタビューをした。南スーダンでのフィールドリサーチは治安状況が改善しないため行えなかった)。またインタビューの結果に基づいて、学外研究先のハーバード大学や、国際研究学会(International Studies Association)などで研究報告を行った。
また昨年度開設したプロジェクトウェブページをアップデートした(https://chinaandassistance.com/about/)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成30年度の研究実施計画(南スーダンの事例研究に関するフィールドワーク・中国政府の政策に関するアップデート・プロジェクトWebページのアップデート・フィールドリサーチ中のインタビューのテープ起こし)を完了しただけでなく、これまでの実証研究を踏まえて以下の出版と研究報告を先立って行うことができた。南スーダン現地におけるRAの雇用は、ケニア・エチオピアでネットワークを作ることが必要と判明したため昨年度は行わず、令和元年度に行う予定。
1)以前から行われていた中国の不介入原則に関する国際共同研究において、本研究プロジェクトにおける分析結果を盛り込むことにより共同研究が成功し、中国研究の国際的な学術誌The China Quarterlyにおいて中国の不介入原則とその現実に関する特集ページを組んで出版することができた。 2)本研究プロジェクトで収集した中国政策の紛争地域(特にアフリカ地域)における資料を用いて、日中それぞれのアフリカ政策がどの程度、日中の競合関係と関わっているのかについて研究し、国際関係の学術誌The Pacific Reviewで出版した。 3)また本プロジェクトを踏まえた研究成果に関する分析は続いているが、その途中過程で明らかになった分析結果に関して、学外研究を行なっていたハーバード大学や、国内外の主要な学会で研究報告を行い、聴衆から様々な助言を得た。 4)中国のミャンマーにおける活動と国際規範との関わりについての査読論文のドラフトについて立命館大学で研究報告を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度は、昨年度行った南スーダンでのインタビューを補完するため、南スーダンでリサーチアシスタント(RA)を雇用し、インタビューを行ってもらう。そのデータも踏まえた上で、南スーダンに関する事例研究に関する単著内の1章を執筆する。
また本年度は第3の事例研究を開始する。研究計画ではマリの事例研究としたが、この2年間の南スーダンとミャンマーの研究で、中国が紛争仲介を行っている別の事例との比較が、より有効である可能性があることが判明した。従って、どの事例研究が最適かの再検討をし、その事例研究の基本的データを収集すること、また可能であればフィールドワークも行うことが本年度の目的である。
また、中国政府の政策に関するアップデート、プロジェクトウェブページのアップデートも順次行い、これまでの研究結果をもとに学会発表なども行っていく。
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Causes of Carryover |
ミャンマーの事例研究に伴うフィールドリサーチを行なったが、立命館大学アジア日本研究所でメンバーとなっているプロジェクトでミャンマーへのフィールドリサーチに行くよう依頼された。従って、ミャンマーでのフィールドリサーチに費やした19日分のうち、科研費からは11日分の研究費を執行し、研究所の研究費からは8日分の研究費を執行した。
余剰分は、南スーダンでのリサーチアシスタントの雇用が想定以上に高額であることが本年度の研究から明らかになったため、その雇用費として使用する予定である。
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Research Products
(17 results)