2018 Fiscal Year Research-status Report
現代中国の統戦外交と戦犯処理に関する基礎研究―台湾統一・少数民族工作と寛大方針
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17K03609
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Research Institution | Kumamoto Gakuen University |
Principal Investigator |
大澤 武司 熊本学園大学, 外国語学部, 教授 (70508978)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 中華人民共和国 / 統戦外交 / 戦犯処理 / 中国国民党 / 満州国 / 蒙彊自治政府 / 台湾統一工作 / 少数民族工作 |
Outline of Annual Research Achievements |
第2年目となる2018(平成30)年度は、前年に引き続き、すでに調査・収集済みの公文書、研究書および論文、関係史資料、回想録、インタビュー記録などの精読・整理・分析を進めた。 具体的には、本研究課題の最も重要な先行研究である任海生編著『共和国特赦戦犯始末』(華文出版社、1995年)の該当部分(特に「国民党戦犯」関連の戦犯管理・処理業務に関与した関係者の回想録など)の翻訳をさらに重点的に進め、なかでも特に1946年から1950年代初頭にかけて勃発した「国共内戦」における中国共産党軍(中国人民解放軍)による中国国民党・政府・軍関係者(幹部)の逮捕・管理・移管・教育の諸過程の展開に関する基礎的な情報整理を進めた。 また、「偽満洲国」「蒙彊自治政府」関係戦犯や国民党戦犯が拘留されていた撫順戦犯管理所(中華人民共和国遼寧省撫順市)で、戦犯の管理教育業務にあたった当事者(金源第二代目所長)の回想録を日本語に翻訳して出版する作業を進めている。これは中国帰還者連絡会(中帰連)研究者である中川寿子氏との共同作業として進めているものであるが、本研究の最終年度となる2019(令和元)年度に公刊することを目指している。 なお、本研究課題と関連して、本年度は、太原戦犯管理所(中華人民共和国山西省太原市)に戦犯として身柄を拘留されていた「笠実」(宣撫官)をめぐる研究について、新たな研究の展開を見出すことができた。2019年2月22日、京都大学人文科学研究所で開催された研究会では、太田出京都大学教授による報告「ある宣撫官の長い道のり―戦犯・笠実の日中戦争」に対するコメントを行い、これまで本研究課題で調査・収集を行ってきた史資料などを基礎として、研究交流を展開することができ、これは今後の共同研究につながる可能性を持つものとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は先行研究や関係者の回想録などを基本資料として、文献整理や文献翻訳などの基礎作業を進める基礎研究であり、研究代表者個人による作業であるため、計画に基づき、翻訳作業や翻訳文の校正作業などを進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる平成31年度(令和元年度)、研究代表者は所属機関が熊本学園大学から福岡大学へと変更になるため、研究環境の大きな変化などが想定されるが、着実に翻訳作業などを進めていきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
次年度使用額は「2875円」であり、計画に基づく予算執行における問題はないと考える。
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Research Products
(1 results)