2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K03612
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
高橋 和宏 法政大学, 法学部, 教授 (70468726)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 外交史 / 日米関係 / 冷戦 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究実績として第一に、外交史料館での史料調査や関係者へのインタビュー(オーラルヒストリー)により、研究テーマに関する史料収集に努めた。オーラルヒストリーでは、研究対象時期の日米関係に深く関与した外交官に複数回の聞き取りを実施し、貴重な証言を数多く得た。そのほか、従来あまり利用されていない日本銀行(日本銀行金融研究所アーカイブ)の一次史料の調査を開始した。 第二の研究実績として、本研究課題の起源とそのアジア地域への影響を検証する研究をまとめ、日本国際政治学会において報告した(高橋和宏「ブレトンウッズ体制の変容とアジア冷戦 1960年代後半のドル防衛をめぐる日米交渉を中心に」日本国際政治学会2019年度研究大会・部会「北東アジア冷戦の再検討」2019年10月)。 同報告では、ベトナム戦争にともなう軍事支出急増により国際収支の不均衡に直面した米国が、国際収支と安全保障の持続的な両立可能性という観点から、アジア同盟国、とりわけ日本に協力を要請していたことを明らかにした。その際、米国は日本に対してアジア地域での負担分担のロジックを頻用したが、その真意は日本に安全保障上の役割拡大を求めたのではなく、ドルの信認とブレトンウッズ体制の安定を図るために財政面での協力を要請する点にあったことを指摘した。こうした安全保障と経済との連関のメカニズムは、冷戦終結期までの日米関係を規定していったと考えられる。 なお、当初計画で予定していた米国での史料調査は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあり実施できなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者の所属先変更にともない研究時間の確保が難しい状況が続き、また、新型コロナウイルス感染拡大により米国での史料調査が実施できなくなっているために、当初計画よりも進捗がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
米国側の史料調査が遅れているので、事業最終年度において米国での史料調査の実施を図るとともに、論文執筆の準備を進める。
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Causes of Carryover |
研究代表者の所属先変更にともない研究時間の確保が難しい状況が続き、また、新型コロナウイルス感染拡大により米国での史料調査が実施できなくなったため。新型コロナウイルス感染拡大の影響を見極めつつ、事業最終年度に米国での史料調査を実施する。米国での史料調査の実施が困難な場合には、データベースの購入など代替手段を検討する。
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