2017 Fiscal Year Research-status Report
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17K03614
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大瀬戸 真次 東北大学, 経済学研究科, 教授 (00278475)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 耐戦略性 / 非分割財 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、貨幣による金銭移転が可能な状況において、非分割財を配分する経済メカニズムの分析を行った。Holmstrom (1979, Econometrica)は、一般的な環境で、耐戦略性と意思決定に関する効率性を満たすメカニズムの集合は、Vickrey-Clarke-Grovesメカニズムの集合であることを証明した。Ohseto (2006, Economic Theory)は、これらのメカニズムの中で非羨望性を満たすものを特定した。一方、Porter, Shoham, and Tennenholtz (2004, Journal of Economic Theory)やCavallo (2006)は、非羨望性を満たさないが、予算不均衡が少ないメカニズムを考案した。平成29年度の研究では、彼らのメカニズムを一般化した集合を定義し、どのような特定化が可能かを分析した。 Kato, Ohseto, and Tamura (2015, International Journal of Game Theory)は、耐戦略性、対称性、予算均衡を満たすメカニズムは存在しないことを証明した。一方、Sprumont (2013, Journal of Economic Theory)は、非分割財を必ずしも配分しないことを認める一般的な枠組みを考えることにより、耐戦略性や対称性を満たす新しいメカニズムの集合を設計した。平成29年度の研究では、Sprumontのモデルのように、非分割財を配分しないことを認めたときに、耐戦略性・予算均衡とある種の公平性を満たすメカニズムの集合を特定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は、貨幣による金銭移転が可能な状況において、非分割財を配分する経済メカニズムの分析を行い、次の2点について研究の進展があったため。 (1) Porter, Shoham, and Tennenholtz (2004, Journal of Economic Theory)やCavallo (2006)のメカニズムを一般化した集合を定義し、どのような特定化が可能かを分析した。 (2) Sprumont (2013, Journal of Economic Theory)のモデルのように、非分割財を配分しないことを認めたときに、耐戦略性・予算均衡とある種の公平性を満たすメカニズムの集合を特定した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、貨幣による金銭移転が可能な状況において、非分割財を配分する経済メカニズムの分析を行ったが、次の2点について引き続き研究を継続する。 (1) Porter, Shoham, and Tennenholtz (2004, Journal of Economic Theory)やCavallo (2006)のメカニズムを一般化した集合を、効率性や公平性の公理を用いて完全な特定化を行う。 (2) Sprumont (2013, Journal of Economic Theory)のモデルにおいて、耐戦略性・予算均衡とある種の公平性を満たすメカニズムの集合を特定したが、その結果を様々な方向に拡張する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額は少額であり、翌年度分として請求した助成金と合わせて適切に使用する。
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