2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K03614
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大瀬戸 真次 東北大学, 経済学研究科, 教授 (00278475)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 耐戦略性 / 効率性 / 非羨望性 / 個人合理性 / メカニズムデザイン |
Outline of Annual Research Achievements |
1種類の財が一定量存在し、経済主体がその財に対して単峰性選好を持つ経済を考察した。Sprumont(1991, Econometrica)は、the uniform ruleという経済メカニズムを設計し、これが耐戦略性、効率性、非羨望性を満たす唯一の経済メカニズムであることを証明した。財の初期保有が公的になされている場合、the uniform ruleは最も優れた経済メカニズムであるとの評価を受けている。 平成31年度の研究では、財の初期保有が私的になされている状況を考察した。その場合、the uniform ruleは個人合理性を満たさない。個人合理性を満たさない経済メカニズムに対して、経済主体はその経済メカニズムに参加しない可能性が危惧される。したがって、この研究分野で重要とされる耐戦略性、効率性に加え、個人合理性を満たすメカニズムの設計が重要である。Klaus et al.(1998)やHashimoto and Wakayama (2020)は、新しい非羨望性の概念を提案し、耐戦略性、効率性、個人合理性、新しい非羨望性を満たす経済メカニズムを設計し、その性質を詳細に分析した。 これらの研究成果を引き継ぎ、Zhao and Ohseto(2020)は、新たな異なる非羨望性の概念を提案するとともに、耐戦略性、効率性、個人合理性を満たす3つ目の経済メカニズムを設計した。さらに、この経済メカニズムが、耐戦略性、効率性、私たちの提案した非羨望性を満たす唯一の経済メカニズムであることを証明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成31年度は、私的に所有される1種類の財が一定の総量存在し、経済主体がその財に対して単峰性選好を持つ経済を考察した。Zhao and Ohseto(2020)は、新たな非羨望性の概念を提案するとともに、耐戦略性、効率性、個人合理性を満たす経済メカニズムを設計した。さらに、この経済メカニズムは、耐戦略性、効率性、私たちの提案した新たな非羨望性を満たす唯一の経済メカニズムであることを証明した。これらの研究成果を、論文の形にまとめることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
私的に所有される1種類の財が一定の総量存在し、経済主体がその財に対して単峰性選好を持つ経済に対して、耐戦略性、効率性、個人合理性を満たす経済メカニズムの設計が重要である。これまでに、Klaus el al. (1998)、Hashimoto and Wakayama (2020)、Zhao and Ohseto(2020)が、耐戦略性、効率性、個人合理性を満たす経済メカニズムを設計している。今後は、耐戦略性、効率性、個人合理性を満たす経済メカニズムの集合全体の構造を解明することに取り組む予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり、令和2年度請求額とあわせ、令和2年度の研究遂行に使用する予定である。
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