2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K03626
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
東 陽一郎 岡山大学, 社会文化科学研究科, 教授 (80327692)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 誘惑 / 情報 / ベイズ改訂 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、主観的不確実性に直面する主体のモデルで、どのような行動を観察すると、主体が主観的不確実性に関する情報を得て、信念をベイズ改訂したとみなせるかを分析した。当初の研究計画では、誘惑の下で、誘惑に関する情報を受け取り信念をベイズ改訂するかを分析する予定であった。誘惑の下で行動をする主体は主観的不確実性のモデルの特殊ケースであるので、本年度の分析は当初の計画よりも分析が一般的になったことを意味する。一般的な分析のおかげで、誘惑の下で行動をする主体以外に、事後の後悔の下で行動をする主体も統一的なフレームワークで分析が可能となった。 単調性を課して主観的不確実性の下で同様の分析をした先行研究と異なり、本研究では、単調性の条件を課さない。先行研究の条件を単調性のない状況に自然に拡張した条件を、誘惑のモデルと事後の後悔のモデルに応用すると、主体の選好に強い制約が必要となる。このため、我々は、一見、先行研究とは異なると思われる条件を論文で提示し、それを用いて主体がどのような情報を得て信念をベイズ改訂するかを明らかにした。この二つ目の条件を用いると、誘惑のモデルと事後の後悔のモデルの両方で、選好に特殊な制約を課さずに、主体が自分の誘惑、ないし、後悔の源泉となる自分の好みに関する情報を受け取り、誘惑や自分の好みの上の信念をベイズ改訂することが示される。これらの二つの条件は、単調性の下では先行研究と一致するため、二つ目の条件も、先行研究の条件の拡張となっていることがわかる。本年度は、これらの結果をもとに、青山学院大学と一橋大学で研究報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、当初の予定の誘惑の下で行動をする主体のベイズ改訂の論文を完成する予定であった。しかし、誘惑のモデルと事後の後悔のモデルを含む一般的なモデルでの分析を行ったため、論文を完成することができなかった。そのため、来年度も本研究を継続することになった。研究の進捗状況は当初の予定よりもやや遅れているが、分析は当初の予定されたものよりも一般的になり、現在文献にある多くのモデルに適用可能な条件を導くことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、主観的不確実性の下で行動をする主体に関するベイズ改訂の特徴づけの論文を完成させることを目的とする。主要な条件と定理をすでに示しているので、残る課題は、導いた条件や定理を正確に、かつ、わかりやすく説明し、論文の意義を広く理解してもらうように論文を作成することである。この際に、研究結果を広く研究者に伝えるために、英語論文を作成する予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は、コロナウイルスのため予定していた研究打ち合わせを複数回キャンセルした。また、英語論文を作成するための英文校正のための費用をしていない。これらのため、次年度使用額が生じた。次年度は、英語論文を作成するための英文校正に研究費を使用する予定である。また、コロナウイルスの状況が落ち着いたら、研究打ち合わせなどを行うために研究費を使用する予定である。
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