2020 Fiscal Year Research-status Report
ゲーム理論におけるポテンシャルアプローチと実証研究への応用
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17K03627
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
宇野 浩司 大阪府立大学, 経済学研究科, 准教授 (70506386)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ポテンシャルゲーム |
Outline of Annual Research Achievements |
企業間競争のように,意思決定者の行動が相互に影響を与え合う戦略的状況を分析し,意思決定を予測するための理論がゲーム理論である.しかし,ゲーム理論を用いて予測を与えることには,様々な実用上の困難に直面する.その困難を乗り越えるためのアプローチの一つとして「ポテンシャル」に注目するアプローチがある. 本研究の目的は,ポテンシャルアプローチに関して既存研究によって得られている知見を生かして,ゲーム理論を用いて実証研究を行う上で直面する困難を乗り越えようとすること,また,必要に応じてポテンシャルアプローチに関する知見を新たに得ようとすることである.この目的のために本研究は特に,コンビニの立地行動データから市場の需要や企業の費用を推定することを到達目標とする. これまでの研究では,コンビニの立地行動の背後にある戦略的状況を立地選択ゲームとして記述し,次のことを明らかにした.0. 立地選択ゲームは各企業の外部性に対称性があれば,ポテンシャルゲームである.1. 立地選択ゲームには複数の均衡がある.2. 当該のアルゴリズムで導出されるナッシュ均衡はポテンシャルを最大にするとは限らない.3. ポテンシャルを最大にする均衡を導出する問題はNP困難である.4. 各地域ブロックを小さくすると,0-1二次最適化問題へ帰着できる.5. 0-1二次最適化問題における厳密解の導出も NP困難である.6. 0-1二次最適化問題における近似解は既存研究のアルゴリズムで導出できる.しかし,その近似解の理論予測としてももっともらしさは不明瞭である. 本年度は,次の知見を得た.参入ゲームのパラメータを制限し,Mナチュラル凹条件を満たすと,多項式時間で厳密解を導出できる.しかし,その制限は,本研究で考察したい店舗の地域間での相互依存関係を見られなくするものであり,問題が残る.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
到達目標を達成するためのいくつかの段階的な糸口を見つけはしたが,それによって最終的な目標達成には結びついていないため.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に引き続き,次年度も次を行う. 1.立地選択ゲームにおける近似解として見つかる均衡の妥当性を考察する. 2.立地選択ゲームにおけるもっともらしい均衡を厳密解として多項式時間内で導出できるアルゴリズムを見つける.
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Causes of Carryover |
コロナウイルス拡大による渡航制限により予定していた出張を取りやめたため,次年度使用額が生じた.その予算を用いて,計算速度向上するためにソフトウェアやハードウェアのアップデートすることや,またオンライン会議のための機器購入することを計画している.
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