2018 Fiscal Year Research-status Report
Pairwise solvable games: Theory and applications
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17K03631
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
丸田 利昌 日本大学, 経済学部, 教授 (60295730)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ゲーム理論 / ナッシュ均衡 / ゼロ和ゲーム / 対可解ゲーム / 進化安定戦略 |
Outline of Annual Research Achievements |
対可解ゲームとは,ゼロ和ゲーム・純粋競争ゲームの本質を保持する自然な拡張でありながら,レント獲得ゲームやトーナメントゲームという応用上重要なゲームをも包摂するゲームである.対可解ゲームの理論と応用につき,以下の実績を得た. 1. 対可解ゲームの基本論文 "Two-person pairwise solvable games" (Population Research Institute Working paper No.2016-02, Nihon University)で,均衡の交換可能性,線型順序戦略集合下の均衡の特徴づけ,さらには有限ゲームにおける支配可解性が示された.これらの結果にさらなる彫琢を加え,国際学術雑誌に投稿した. 2. 対可解ゲームの応用論文 "Equilibria in games with weak payoff externalities"で,弱い外部性を持つゲームが対可解ゲームであることが示されるとともに,新たな均衡の存在定理が得られた.これらの結果にさらなる彫琢を加え,国際学術雑誌に投稿した.その後受理され,次のように掲載された: Iimura, T., Maruta, T. & Watanabe, T. Econ Theory Bull (2018). https://doi.org/10.1007/s40505-018-0157-4 3. 平成29年度に着想を得たあらたな主題,対可解ゲームにおける大域進化安定戦略についての研究を進めた.特に擬安定(pseudostable)ゲームと対可解ゲームとの間に密接な関連があることが次第に明らかになってきている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
30年度は,以下の研究課題に取り組んだ.1.安定ゲーム,対可解ゲームと擬安定ゲームとの関連:これまでの研究から,対称戦略型ゲームが擬安定であることの必要十分条件は,それが安定ゲームまたは対可解ゲームであることが推測される.実際,2戦略ゲームについてはこの命題は正しいことが判明した.2.擬安定ゲームと大域進化安定戦略:既存の研究より,安定ゲームの均衡は大域進化安定戦略であることがわかっている.この結果がどのような形で擬安定ゲームに拡張されるかについて考察した.
これらの課題はともに進化ゲーム理論において重要な意義を持つものであり,それゆえに容易なものではないが,徐々に補助的結果が蓄積されてきている.
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度は,次の課題に取り組む.1.安定ゲーム,対可解ゲームと擬安定ゲームとの関連:これまでの研究から,対称戦略型ゲームが擬安定であることの必要十分条件は,それが安定ゲームまたは対可解ゲームであることが推測される.実際,2戦略ゲームについてはこの命題は正しい.今後は,この同値性が成り立つ範囲をどこまで拡張できるかを見極める.2.擬安定ゲームと大域進化安定戦略:既存の研究より,安定ゲームの均衡は大域進化安定戦略であることがわかっている.この結果がどのような形で擬安定ゲームに拡張されるかを見極める.
これらの課題はともに進化ゲーム理論において重要な意義を持つものであり,それゆえに容易なものではないが,これまで得られた補助的結果を基礎として,国際学術雑誌掲載論文として十分な成果までつなげてゆく.
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Causes of Carryover |
申請時は,平成30年度に成果発表・情報収集のための国際学会出席を予定していたが,教育負担との兼ね合いでかなわなかった.今年度は,国内外の複数の学会・研究会参加を計画している.
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