2019 Fiscal Year Annual Research Report
Pairwise solvable games: Theory and applications
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17K03631
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
丸田 利昌 日本大学, 経済学部, 教授 (60295730)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ゲーム理論 / ナッシュ均衡 / 支配される戦略の除去 / 進化ゲーム |
Outline of Annual Research Achievements |
ゲームにおける諸個人の選択はどのような場合にナッシュ均衡となるのだろうか.この問いに対する有力な回答に,被支配戦略の逐次除去がある.この問題意識を背景とし,本研究は対可解ゲーム(pairwise solvable game)というゲームを定義しその性質を考察する.定和ゲーム,囚人のジレンマのみならず,レント獲得ゲーム,トーナメントゲームなど多くの応用上重要なゲームは対可解ゲームであり,考察の意義は大きい.論文"Two-person pairwise solvable games"は以下の結果を得た.第1に,対可解ゲームはナッシュ可解である.これは,対可解ゲームの均衡が実質上一意であることを意味する.第2に,戦略が(努力水準などの)数値である対可解ゲームにおける,単峰性条件のもとでの均衡存在の必要十分条件を得た.この結果は,ホテリングの選挙ゲームなど,応用上重要な不連続な利得関数を持つゲームにも適用可能である.第3に,最も主要な結果として,単峰有限対可解ゲームは支配可解(dominance solvable)であることが示された.この結果により,このクラスのゲームにおける(実質上)一意のナッシュ均衡は,被支配戦略の逐次除去によって到達されるということが判明した.第4に,相対利得最大化行動の帰結である進化均衡について考察し,ゲームが対可解であれば進化均衡はナッシュ均衡よりパレート劣位であるという結果を得た.われわれの直観はspiteful behavior が非効率性を生むということを示唆するが,対可解ゲームにおいてはこの直観が妥当なものとなることをこの結果は示している.論文"Equilibria in games with weak payoff externalities"では,外部性の弱いゲームの均衡存在問題に上述2番目の結果が応用され,先行研究の拡張をもたらした.
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