2018 Fiscal Year Research-status Report
History of Economic Thought in Modern China: Focus on the relationship with Japanese Intellectuals
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17K03640
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
武藤 秀太郎 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (10612913)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 福田徳三 / 大正デモクラシー / 朝河貫一 / 馬寅初 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の考察対象である福田徳三について、2018年6月に東京大学でおこなわれた経済学史学会第82回大会で、福田徳三研究会のメンバーとセッションを組み、「福田徳三と黎明会」と題して報告をおこなった。福田徳三研究会では現在、新しい『福田徳三著作集』(信山社)を編纂・刊行中である。研究代表者は福田の黎明会における活動が収められた『福田徳三著作集』第15巻と第16巻の編集・解説を担当した。本報告は、その過程でえられた新たな知見にもとづくものであり、多くの反響をえることができた。 また、2018年7月には、早稲田大学の大隈講堂で開かれた「没後70年記念シンポジウム 朝河貫一 ー人文学の形成とその遺産」で、「朝河貫一と近代中国」と題して報告をおこなった。イェール大学初の日本人教師となった朝河のもとには、同じアジア人として多くの中国人留学生が集った。そのうちの一人に、『新人口論』で知られる経済学者の馬寅初がいる。本報告では、これまでまったく触れられてこなかった朝河と馬寅初の交流について、イェール大学や福島県立図書館に所蔵されている資料をもとに明らかにした。本シンポジウムでは、参加したイェール大学の研究者とも、有意義な意見交換を交わすことができた。この報告内容については、2019年2月に刊行された論文集『朝河貫一と人文学の形成』(吉川弘文館)に寄稿した論文「朝河貫一と近代中国」で活字化した。 2018年11月に中国、2019年2~3月に韓国でそれぞれ資料調査・収集を実施した。本研究のテーマの一つである日本の経済思想が海外におよぼした影響について、新たな知見をえることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現時点でとくに大きなトラブルもなく、研究計画通りに研究を進めている。海外における資料調査・収集も、おおむね問題なく実行できている。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は最終年度であるので、これまで進めてきた研究のとりまとめをおこないたい。具体的には、考察対象の一人である河上肇と中国知識人に関する論文を、『吉野作造研究』に掲載する予定である。また、本研究の成果を『「大正デモクラット」の精神史』と題した学術書として刊行する計画で、執筆を進めている。
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Causes of Carryover |
大学での業務により、予定していた海外調査を実施することができなかった。この海外調査に次年度使用額をあてる予定である。
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