2017 Fiscal Year Research-status Report
ワルラス一般均衡理論の思想的起源の解明-ローザンヌ大学ワルラス文庫を手掛かりに
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17K03642
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
御崎 加代子 滋賀大学, 経済学部, 教授 (90242362)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ワルラス / 一般均衡理論 / アダム・スミス / 経済学史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ローザンヌ大学ワルラス文庫の調査を重要な手がかりとして、ワルラスが実際にどのような文献からどのような経済・社会思想を吸収し、自らの経済学体系を確立したのかを解明することによって、ワルラス経済学の真の意図と、一般均衡理論誕生の背景にある思想的・歴史的意義を明らかにすることである。ワルラスの一般均衡理論の起源についてはこれまで、主に理論的なアプローチに基づいて議論されてきたが、本研究は、史料の検証を中心に思想史的な見地から、現代経済学成立の背景について、まったく新しい解釈を提示することを意図している。 平成29年度の研究の主な柱は、国際学会での研究報告と論文の執筆、ローザンヌ大学ワルラス文庫での調査であった。まず2017年5月18日から20日までベルギーのアントワープで開催された、ヨーロッパ経済思想史学会(ESHET)の第21回年次大会において、ワルラスが『国富論』をどう読んだかというテーマで研究発表を行った。この論文は、ローザンヌ大学ワルラス文庫の調査に基づいて、スミスの「見えざる手」とワルラスの一般均衡理論を結び付ける教科書的解釈に一石を投じることを意図している。 また2018年3月15日から3日間、スイスのローザンヌ大学ワルラス・パレート研究所において、ワルラス文庫のさらなる調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度に計画していた、ローザンヌ大学ワルラス文庫の調査旅行、研究論文の執筆とその国際学会での発表、国際査読ジャーナルへの投稿は、すべて実施した。現在、当該論文の掲載の可否についての結果を待っているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
3月に行ったワルラス文庫の調査の結果に基づき、新たな研究論文を少なくとも2本は執筆し、国際学会で報告、国際査読ジャーナルに投稿する。 現在投稿中の論文も含め、ジャーナル掲載に至るまで、改善を行う。
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Causes of Carryover |
ローザンヌ大学の資料調査旅行において、滞在日程の後半、研究協力者の自宅に宿泊し、旅費の宿泊費が節約できたため。繰り越し金は次年度に、旅費の一部として使用する。
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