2018 Fiscal Year Research-status Report
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17K03647
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
中井 大介 近畿大学, 経済学部, 教授 (70454634)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 経済思想 / パターナリズム / ベンサム / シジウィック |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度に関しては、ベンサムとヘンリー・シジウィックの経済思想の関係に関する研究を進展させた。2018年5月には、国際ワークショップ「New Bentham? Classical Utilitarianism After the Bentham Project's Critical Editions of Bentham's writings」(ローマ)に参加し、「Utilitarian Economic Tradition: Bentham and Sidgwick」として研究発表を行った。さらに同ワークショップでの議論を踏まえて同研究の修正・改善を行い、2018年9月には国際学会「History of Economic Thought Society of Australia」(パース)で研究発表を行った。さらに同学会での議論を踏まえて英文論文を完成させ、国際ジャーナルに投稿を行った(現在査読中)。 経済と福利の関係に関する研究を進展させ、論文「経済、格差および福利の指標化」を完成させた。同論文は、深貝編『幸福、ウェルビーイングと社会倫理』ナカニシヤ出版として2019年度中に刊行予定である。 この他に学術誌『経済学史研究』において英文書評論文「Élie Halévy( Japanese translation by Yoshio Nagai),La Formation du Radicalisme Philosophique Hosei University Press, 2016」を刊行した(2019年1月)。 現在J.S.ミルとシジウィックを軸にした19世紀のパターナリズムに関してThe Making of the Modern World等のデータベースを用いた研究を進展させており、同論文英文論文を2019年度中に完成させ国際ジャーナルに投稿予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概要でも述べたように、2018年度はベンサムとヘンリー・シジウィックの経済思想の関係に関する研究を進展させ英文論文として完成させ、国際ジャーナルに投稿を行った(現在査読中)。 また現在J.S.ミルとシジウィックを軸にした19世紀のパターナリズムの展開に関して、The Making of the Modern World等のデータベースを用いた研究を進展させている。こちらについても英文論文を2019年度中に完成させ、国際ジャーナルに投稿する予定である。 以上の研究成果を軸としながら、ベンサム、ミル、シジウィックを貫く19世紀の経済思想の変遷について、リベラリズムとパターナリズムの関係という観点からさらなる調査を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
前述のように、ベンサムとヘンリー・シジウィックの経済思想の関係に関する研究、さらにJ.S.ミルとシジウィックを軸にした19世紀のパターナリズムに関する研究をベースとしながら、全体を繋げる研究へと展開させていくことにしたい。 特に本年度は、幅広く19世紀におけるパターナリズムの変遷を見極めるために、各種データベースを活用したり、あるいはケンブリッジ大学図書館や大英図書館での資料調査を行ったりしながら、リベラリズムとパターナリズムの関係についての史料調査を徹底的に行う予定である。以上のように史料に基づく実証的な研究を進展させつつ、19世紀の経済思想の変遷を概念史的・通史的アプローチで見極めていく計画である。
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Causes of Carryover |
2019年3月にケンブリッジおよびロンドンでの現地資料調査を予定していましたが、校務等の関係で2019年度に予定を変更したためです。
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