2018 Fiscal Year Research-status Report
ケンブリッジにおける経済学の黎明──組織と人的ネットワークからの接近
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17K03649
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
久保 真 関西学院大学, 経済学部, 教授 (30276399)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ケンブリッジ / ジョーンズ / プライム / ハーシェル |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度(当該研究課題第2年度)の後半より、研究代表者の在外研究の機会を利用して、精力的に資料調査を行った。ケンブリッジ大学の大学図書館およびカレッジの図書館・文書館に所蔵されている資料のみならず、ロンドンの大英図書館および英国王立協会図書館に所蔵されている資料を記録し、それらに対する分析を行った。また並行して、すでに記録していたケンブリッジ大学の初代経済学教授プライムの講義ノートを翻刻し分析した。これらは、本研究課題が対象とする時代のケンブリッジにおける経済学の有り様を示す重要な一次資料をなす。 前者において特に重要なものは、英国王立協会所蔵のハーシェル文書に含まれるリチャード・ジョーンズとの書簡である。ジョーンズは、キングズカレッジ(ロンドン)および東インドカレッジの経済学教授を務めた人物であるが、その彼が自らの研究をケンブリッジネットワークのなかでどのように位置づけていたかを明らかにするものである。他方後者は、研究代表者は既発表論文(Shin Kubo (2015) Political Economy at Mid-Nineteenth-Century Cambridge: Reform, Free Trade and the Figure of Ricardo, The European Journal of the History of Economic Thought 22(5): 872-895)において、その一端を紹介しているが、これの全編を翻刻することによって、世界規模での研究の進展が期待できる(資料の所在地が東京であり、現在のところネット等での公表の予定はない)。それぞれについて、2019年度あるいは2020年度に発表すべく、現在準備を進めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に進展していると評価する。 資料蒐集状況および予算執行状況は順調である。2018年度中、当該研究課題を遂行するによって得られた研究成果を発表することは能わなかったけれども、2019年度および2020年度にそれらを発表できるよう準備を行っている(すでに、2019年度4月時点で、研究報告すべく複数の学会へプロポーザルを送っている)。
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表者が2019年度秋まで在外研究の機会を本務校より与えられているので、この機会を利用して、さらに資料蒐集を行う予定である。並行して、すでに蒐集された資料を分析・翻刻し、その成果を2019年度および2020年度に発表する予定である。
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Causes of Carryover |
2018年度末に出張した際、一部の旅費が外貨建てで支払われ、その邦貨建て金額が判明するのが、2018年度の会計締切に間に合わず、2019年度に精算することとしたため
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[Book] 『経済学方法論の多元性──歴史的視点から』2018
Author(s)
只腰親和, 佐々木憲介, 原谷直樹, 松本哲人, 上宮智之, 江頭進, 久保 真, 廣瀬弘毅, 石田教子, 中澤信彦, 松井名津
Total Pages
356
Publisher
蒼天社出版
ISBN
978-4909560254