2019 Fiscal Year Research-status Report
ケンブリッジにおける経済学の黎明──組織と人的ネットワークからの接近
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17K03649
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
久保 真 関西学院大学, 経済学部, 教授 (30276399)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ケンブリッジ / リチャード・ジョーンズ / チャールズ・バベッジ |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度後半に引き続いて、2019年度(当該研究課題第3年度)の前半は、研究代表者の在外研究の機会を利用して、精力的に資料調査を行った。ケンブリッジ大学の大学図書館およびカレッジの図書館・文書館に所蔵されている資料のみならず、ロンドンの大英図書館および英国王立協会図書館に所蔵されている資料を収集記録し、それらに対する分析を行った。これらは、本研究課題が対象とする時代のケンブリッジにおける経済学の有り様を示す重要な一次資料をなす。 分析の結果の一部は、2019年6月にコロンビア大学(米国ニューヨーク)で開催された北米経済学史学会(History of Economics Society)の第46回年次大会で、「Reforming Political Economy using Statistics: The Words and Deeds of Quetelet and Whewell」と題して報告した。ここでは、英国王立協会所蔵のハーシェル文書に含まれるリチャード・ジョーンズの書簡を新たに用いつつ、ジョーンズが自らの研究をケンブリッジネットワークに連なるメンバーとの関係のなかにどのように位置づけていたかに関説した。他方、ロンドンの大英図書館で主として収集記録したチャールズ・バベッジ関係資料についても、その成果を発表すべく、準備を進めた。 これらの分析結果を連関させる資料を調査すべく、2020年2月あるいは3月に渡英することを計画していたが、しかし、新型コロナウィルスの感染が拡大していったため、渡英調査を断念した。これらの調査については、2020年度(当該研究課題最終年度)のできるだけ早い時期に行うべく、様子を見ているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度前半期については、資料収集状況、予算執行状況、成果発表いずれ点においても順調であった。しかし、2019年度後半期については、2月あるいは3月に、資料調査を行うことができず、当該研究課題についての研究活動がほとんどストップした。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は、現地(イギリス)での資料調査を基礎とした歴史研究であることから、今後それらがどのような形で実施できるのかに専ら依存していると言っても過言ではない。2019年度に実施できなかった現地資料調査を行う予定でいるものの、本報告書執筆時点では新型コロナウイルス感染症拡大終息が見通せないことから、研究活動再開の目途が立たない。状況を注視しながら、研究活動を再開したい。
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Causes of Carryover |
2019年度後半期に予定していた現地資料調査を行えなかったため。2020年度に現地資料調査を行うこととして、それに充当する計画である。
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