2017 Fiscal Year Research-status Report
A research on Neoliberal policy in the finance-led regime
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17K03651
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Research Institution | Ohtsuki City College |
Principal Investigator |
内藤 敦之 大月短期大学, 経済科, 教授 (40461868)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 金融化 / ネオ・リベラリズム / ポスト・ケインジアン / 金融不安定性 / フーコー / ミンスキー / 流動性選好 / 認知資本主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は基本的な文献のサーベイを中心に研究を行った。第一に金融化論に関する文献の検討を行った。ポスト・ケインジアンによるものを中心に、金融化論において政策がどのような役割を果たし、どのような作用を及ぼしているかという点を検討した。第二に、マクロ経済レジーム論の検討を行った。ここでは、近年のボワイエなどによって展開されているレギュラシオン理論の金融主導型レジームと認知資本主義論のレジーム論を対象にサーベイを行い、政策がどのような機能を果たし、マクロ経済連関にどのような影響を与えているかを検討した。第三に、認知資本主義論の検討を行った。認知資本主義論はネグリ、ハートの影響の下、労働の変容とIT化が政治、社会に及ぼす影響だけでなく、経済に与える影響に関しても分析を行っている。ここでは、経済学的な分析におけるネオ・リベラリズム論への言及を中心にサーベイを行い、金融主導型レジームとネオ・リベラリズム政策の関係を考察した。第四にネオ・リベラリズム関係の文献の検討を行った。金融を重視した文献も含めてネオ・リベラリズムの概念を明らかにした上で、ネオ・リベラリズム政策の概要とその役割についてサーベイを行い、金融(化)との関係を中心に検討した。第五に、先駆的なネオ・リベラリズム研究であるフーコーの『生政治の誕生』を中心に、フーコーのネオ・リベラリズム観についての検討を行った。成果としては第一に、一般向けではあるが、「経済政策の哲学―ネオリベラリズムのフーコーによる分析―」(県民コミュニティーカレッジ、2017年10月25日、大月短期大学)という題で講演を行い、フーコーがネオ・リベラリズムをどのように捉えているかという点を検討した。第二に、ミンスキーにおける流動性選好説を検討した論文「ミンスキーと流動性選好」(『大月短大論集』第49号)を発表した
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は文献のサーベイを中心に進める計画であったが、サーベイに関しては順調に進んでいる。特に、フーコーのネオ・リベラリズム論に関してはまだ、大雑把ではあるが、『監獄の誕生』に遡って、フーコーの諸著作における位置付け、あるいは規律権力と生政治、生権力との関係に関しても検討を行えた。成果としては、県民コミュニティーカレッジという一般向きの講演会ではあるが、フーコーのネオ・リベラリズム論を中心に報告し、また、金融不安定性論における流動性選好の役割に関する論文を発表している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、基本的な文献のサーベイを引き続き行うとともに、ネオ・リベラリズム政策の金融主導型レジームにおける理論的な検討、及び金融化論との関連を中心に行う。第一に、金融化論のサーベイと理論的検討を行う。引き続き、金融化論の政策論及び金融化の進展のプロセスを中心にサーベイを行うとともに、金融化論の枠組にネオ・リベラリズム政策を明確に位置付ける。特に金融化を促進させた政策について注目する。第二に、マクロ経済レジーム論の検討を行う。引き続き、サーベイを行うとともに、金融主導型レジームにおける政策の役割の特徴と問題点を明らかにする。特に金融主導型レジームの不安定性と政策の関係を考察する。第三に、認知資本主義論の検討を行う。認知資本主義論においては、フーコーの生政治論やネグリのマルチチュード論に基づいて、労働や金融についての分析を行っている。ここでは、ネオ・リベラリズム的政策を生政治論から検討するとともに、金融化との関係を考察する。第四に、ネオ・リベラリズム論の検討を行う。ネオ・リベラリズム論の理論的構成と政策の位置付けの検討を引き続いて行い、政策の持つ意味を分析する。また、これまで重視されてきた政策の思想的背景に関してもサーベイを行い、実際の政策との関係を考察する。第五に、ネオ・リベラリズム政策の分析を行う。ネオ・リベラリズム政策の実態とその影響に関する簡単な実証分析を行うために準備として、先進国のマクロ経済データの整理を行う。 成果の発表に関しては、第一に、前年度、報告したフーコーのネオ・リベラリズム論を完成させ、海外ジャーナルへ投稿する。第二に、ネオ・リベラリズムにおける政策の概要とその役割についての検討を主題とした報告をポスト・ケインズ派経済学研究会、ケインズ学会等で行う。
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Research Products
(1 results)