2017 Fiscal Year Research-status Report
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17K03660
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
早川 和彦 広島大学, 社会科学研究科, 教授 (00508161)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 共分散構造分析 / 尤度比検定 / パネルデータ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、共分散構造分析の先行研究のサーベイとモンテカルロ実験のためのプログラム作成を行った。 先行研究のサーベイについて、共分散構造分析は経済学ではあまり使われていないが、心理統計学の分野で多くの研究が蓄積されているため、心理統計学の文献を中心に先行研究をサーベイした。具体的には、一般的なモデルの推定と定式化問題についてサーベイし、先行研究では様々な推定量が提案されているが、最尤推定量がもっとも頻繁に使われており、有限標本でも最もパフォーマンスがいいということがわかった。 また、定式化検定については、通常の尤度比検定(T_MLと表す)のパフォーマンスは、共分散行列の次元とサンプルサイズの相対的な大きさによって大きく異なること、そして、一般的なモデルではその問題が解決されていないということがわかった。そこで、パフォーマンスが悪くなる原因を理論的に調べたところ、1974年に提案されているがほとんど分析されてこなかった統計量(T_RLSと表す)を使えば、その問題を解決できるはずであるという予想を得た。実際にモンテカルロ実験を行ったところ、共分散行列の次元(pと表す)が、サンプルサイズ(nと表す)に比べて小さい場合でも大きい場合でも、T_MLよりもT_RLSの方が、はるかにパフォーマンスがいいことがわかった。 この代替的な検定統計量T_RLSの理論的妥当性を、nとpが両方とも大きい高次元の枠組みで理論的に示すために、具体的なモデルとしてspherical モデルと対角モデルを考察した。その結果、T_RLSは、高次元においてすでに理論的に妥当性が証明されている別の検定と同一になることがわかった。したがって、これらの2つのモデルについては、高次元において、T_RLSの理論的妥当性が成立することがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
先行研究のサーベイや数値実験のプログラムの作成、理論的考察など、当初の予定通り、順調に進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、具体的に、共分散構造分析を用いたパネルデータモデルの推定について考察する。最初に最もベーシックな静学的モデルを考察する。特に、説明変数が先決変数や内生変数である場合でも最尤法による推定が可能かどうかを理論的に分析する。次に、モデルを動学的モデルや、タイムトレンドが入ったモデルに拡張する。
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Causes of Carryover |
物品購入予定が当初の予定から変更になったため。残額は次年度利用する予定である。
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