2020 Fiscal Year Annual Research Report
Dynamic panel analysis based on covariance structure analysis
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17K03660
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
早川 和彦 広島大学, 人間社会科学研究科(社), 教授 (00508161)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | パネルデータ / 共分散構造分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、誤差項に相互作用効果を含むパネルVARモデルの最尤推定量を考察した。先行研究で、Binder, Hsiao and Pesaran (2005)もパネルVARモデルの最尤推定量を提案しているが、彼らは伝統的な個別効果と時間効果が加法的に含まれているパネルVARモデルを考察している。それに対し、本論文では、加法的に含まれた個別効果と時間効果に加え、近年注目を集めている、個別効果と時間効果が乗法的に含まれた相互作用効果を含むパネルVARモデルを考察している。まず、識別の条件を検討したところ、相互作用効果のみが含まれたモデルの識別条件とは異なる識別の条件が必要になることが分かった。その後、最尤推定量の漸近的性質を導出するために、正則条件が成立するかどうかを検討した。 最尤推定量を計算するためには数値最適化が必要となってくるが、いくつかのアルゴリズムを使うことができる。もっとも簡単な方法は、ソフトウェアに組み込まれている最適化ルーチンをそのまま使うことである。実際にこの方法でモンテカルロ実験を行うと、ある程度満足のいく結果が得られたが、計算に時間がかかったり、計算が収束しないといった問題が生じることがわかっている。そこで、計算速度を早くするために、尤度関数の最大化を非線形最小二乗問題として再定式化し、解析的な一次微分を導出した。また、実証分析で用いるパネルデータには欠損値が含まれていることが多いため、欠損値を考慮した最尤推定量の計算方法と漸近的性質も考察した。
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