2019 Fiscal Year Annual Research Report
A study on improving the statistical surveys of the Japanese wholesale and retail trade sector
Project/Area Number |
17K03664
|
Research Institution | Rissho University |
Principal Investigator |
宮川 幸三 立正大学, 経済学部, 教授 (00317281)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 商業活動 / 経済センサス-活動調査 / 商業統計調査 / 商業マージン |
Outline of Annual Research Achievements |
「経済センサス-活動調査」の実施や「商業統計調査」の廃止、「経済構造実態調査」の開始により、この数年で商業部門に関する一次統計の体系は大きく変化した。本研究は、これらの変化が商業部門の生産額や付加価値額の推計精度に及ぼした影響の大きさを明らかにし、商業活動を的確に把握するための一次統計のあり方について考察するものである。 2017・18年度においては、商業部門の調査項目が簡素化されたことの影響について分析を行い、調査品目数の減少によって一部の品目に大きなバイアスが発生することや、国産品と輸入品を識別できないことの問題点を明らかにした。また、商業部門の生産額過小推計により、一国全体のGDPにも影響が出ている可能性を指摘した。 最終年度となる2019年度には、前年度までに整備した「商業統計調査」の4時点にわたる個票データを用いて卸売業の流通経路別マージン率および販売額シェアとその変化について詳細な分析を行った。結果として、国産品と輸入品の違いはもとより、産業向けと小売り向けといった販売先の違いによってマージン率の水準や変化の方向性が異なっている一方で、流通経路別販売額シェアは比較的安定していたことが明らかとなった。 これを受けて、商業部門の一次統計のあり方としては、基準年に流通経路別の詳細な情報を収集すべきであること、ただし必ずしも「経済センサス-活動調査」において全数調査を実施するのではなく効率的な調査手法を検討する必要があること、中間年についてはサンプル調査等によって流通経路別マージン率の延長推計を行うことができるような設計にすべきであることなどを述べている。 これらの分析に加え、売上高未把握分の欠測値補完の問題に関して、2019年度中にアメリカセンサス局より「経済センサス」の担当者を招聘し、2017年経済センサスにおいて適用された欠測値補完方法の詳細についても情報収集を行った。
|