2017 Fiscal Year Research-status Report
社会シミュレーションのための位置情報を考慮したエージェントの生成に関する研究
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17K03669
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
村田 忠彦 関西大学, 総合情報学部, 教授 (30296082)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 人口統計 / 人口合成 / 町丁目単位 / 位置情報 / 基盤地図情報 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、公開されている統計情報に基づいて,都道府県単位で復元(合成)した仮想個票データをさらに,町丁目単位の統計を用いて,町丁目単位の仮想個票データの合成を行う.並行して,国土地理院が公開している該当する町丁目の基盤地図情報を用いて,建物の位置を抽出する.本年度では,特に,基盤地図情報を用いて、町丁目レベルの統計データから推計した市民に関する情報と居住用の建物とを関連付けるシステムの開発に取り組んだ.具体的には,地図から居住用建物の位置を抽出し、抽出された建物位置に基づいて、仮想世帯を建物に割り当て,仮想世帯の建物への割り当ての際に,建物の大きさにより,割り当てる世帯数を異らせることにより,より現実的な割り当てを行えるような調整を行った. まず,合成データに位置情報の属性を付加する手法を提案した.提案手法では合成データに町丁目の属性をSA 法を用いて付加し,町丁目別の建築物の位置情報を用いて合成データに位置情報の属性を付加した.実験結果から,「町丁目,家族類型,世帯人員別世帯数」の推計する際の誤差は良好な結果が得られた.しかし,世帯に町丁目の属性を付加する際には多くの誤差が発生することがわかった. 町丁目の属性割り当てにおける誤差を軽減するため,新たな手法として,合成データへ住宅の所有の関係と建て方の属性を利用した.使用した統計は,(1) 家族類型,住宅所有の関係別,一般世帯数,一般世帯人員,(2) 住宅所有の関係,住宅の建て方別,一般世帯数,一般世帯人員である.これらの統計の出所は国勢調査2) 人口等基本集計表25-2 及び表19-2 である.これらの統計は日本全国どの市区町村においても入手可能である.提案手法により,一軒家と思われる建築物に割り当てる世帯数を減少し,共同住宅と思われる建築物に割り当てる世帯数を増加することができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の申請時から,本課題に取り組むことにより,順調に進展している.すでに,基盤地図情報からの建物形状と面積の割り出しを行い,合成された世帯の割り付けが実現できている.並行して,日本全国の仮想個票の合成にも着手しており,大阪大学サイバーメディアセンターの高性能計算機を利用することにより,2015年と2010年の国勢調査に基づく,人口の合成ができている.
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Strategy for Future Research Activity |
現在は,建物の建築面積(建物を真上から見たときの外周で囲まれた面積)によって,割り当てる世帯数を変更しているが,建物の階数などの情報を用いることによっても,世帯数の調整が行えられると考えている.予定通り,平成30年度の計画にしたがって,居住用建物の割り出しの精緻化に取り組む. 国土地理院が整備している数値地図5000(土地利用)を用いて,住宅地と商業・業務地との区別をつけることが可能であるが,この数値地図は,首都圏、中部圏、近畿圏のみを対象にしていること,また、首都圏版には東京都が含まれていないことから,この数値地図を用いて,未整備地域における居住用建物と非居住用建物の識別に関する知見を得る.公的機関や周辺道路の情報などを取得することにより、非居住用建物を識別し、居住用建物のより正確な抽出を目指す.
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Causes of Carryover |
採録された論文印刷費が,29年度残額をやや上回っており,30年度で支払うことにしたため,残額が発生した.
次年度は,今年度の残額277,488円と,次年度に予算計上している1,100,000円を合わせて,137,488円を使用する予定である.H30年度の使用計画として,H29年度の支払いが残っている論文印刷費が1件(約30万円),H30年度4月掲載分として採録された論文印刷費(約17万円),現在投稿中で,条件付き採録になっている論文印刷費(約25万円)の合計72万円を論文印刷費として執行する.また,研究を推進するためのプログラム作成にかかる謝金を20万円,国内学会出張費を1回(10万円),国際会議参加費1回(35万円)の旅費合計45万円を予定し,印刷日72万円と合わせて,137万円の執行を予定する.
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