2019 Fiscal Year Research-status Report
Quantitative evaluations of fiscal and monetary policies effects in the US and Japan based on DSGE model
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17K03671
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| Research Institution | Tohoku Gakuin University |
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Principal Investigator |
松前 龍宜 東北学院大学, 経済学部, 准教授 (40780888)
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| Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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| Keywords | 経済政策 / DSGEモデル |
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| Outline of Annual Research Achievements |
動学的一般均衡（Dynamic Stochastic General Equilibrium; 以下，DSGE）モデルを理論・計量の両面から拡張しつつ3つの研究プロジェクトを遂行してきた．
第一は，日本の不況期における失業に対する財政支出の効果を検証した研究である．民間消費増によって政府消費が誘発されるチャネルと，政府投資が民間企業の生産性を高めるチャネルが，失業率の改善にどの程度貢献したかを定量的に明らかにした．この研究成果は，東北学院大学のTG経済学研究会にて報告し（2019年9月），現在リバイス中である．
第二は，米国のGreat Recessionと呼ばれる不況の原因と政策効果の検証した研究である．2008年のリーマン・ショックに端を発する金融危機において，銀行・企業のバランスシートの棄損が米国の実体経済をどれほど悪化させ，危機後の金融・財政政策がどれほど景気の下支えに寄与したかを定量的に評価した．この研究成果は，東京大学のマクロ経済学ワークショップ（2018年11月），早稲田大学のセミナー（2019年2月）にて報告した．
第三は，金融摩擦を組み込んだDSGEモデルによってマクロ経済指標の予測精度が改善するか否かを日本経済を対象に検証した研究である．バブル期や失われた10年を含む金融危機の時期に焦点を当てると，金融摩擦モデルは投資の予測精度を改善した一方，消費とインフレの予測精度は，政策金利と企業の借入金利スプレッドの変動に依存し，特に急激な金融政策の変更は，金融摩擦モデルの予測パフォーマンスを低下させる可能性があることがわかった．この研究成果は，Journal of Asian Economics（2019, vol.60, pp.45-68）に掲載された．
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
米国におけるGreat Recessionの真因と金融・財政政策の効果を検証するプロジェクト，および金融摩擦の導入によりマクロ経済指標の予測精度が改善するか否かを検証するプロジェクトについては，概ね予定通りの進捗である．
一方，失業に対する財政支出の効果を検証するプロジェクトで進捗が遅れているのは，レフリーやセミナーにおけるコメントに基づいて，大幅なモデルの拡張と再推定作業が必要となったためである．
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| Strategy for Future Research Activity |
失業に対する財政支出の効果を検証する研究プロジェクトは，レフリーやセミナーにおけるコメントに基づき，以下のリバイス作業を行う．
第一に，民間消費が政府消費を誘発するチャネルについて，現状の定式化では民間消費と政府消費の完全補完を想定しているが，部分的な補完関係も認める一般的な定式化へ拡張する．第二に，財政支出による所得増分をそのまま消費に回す家計が一定割合いるものとし，財政支出が民需を高めることを通じて失業を改善するもうひとつのチャネルを導入する．
このように拡張されたDSGEモデルに基づいて再推定作業を行い，財政支出が失業へ及した影響を定量的に評価し，研究成果の国際ジャーナル公刊を目指す．
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| Causes of Carryover |
旅費が当初予定よりも必要としなかったためである。次年度では2つの研究課題の遂行に使用する。金融危機時の米国の財政金融政策の効果を検証する研究は、2018年11月に東京大学、2019年2月に早稲田大学の研究会にて報告し、コメントを受けてリバイス中である。財政支出が失業率へ及ぼす影響を推計する研究は、2019年9月に東北学院大学の研究会にて報告済であるが、論文査読者のリバイス要求により、理論モデルの修正と追加の推定作業が必要である。
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Research Products
(3 results)
