2021 Fiscal Year Annual Research Report
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17K03674
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大橋 弘 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 教授 (00361577)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 競争促進効果 / 競争制限効果 / バンドリング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、バンドリングの市場競争及び社会厚生に与える影響を分析することを目的とした。バンドリングは基本的には競争促進的と想定されるところ、場合によると一商品を販売する事業者の参入や事業拡大を阻害する恐れがあるなど、競争制限的な効果につながることが理論的にも指摘されてきた。例えばモバイル通信市場では、携帯端末と通信プランとの抱き合わせ販売がなされ、通信プランの料金が高止まりするばかりでなく、携帯端末を専業とする企業の参入が妨げられる可能性が指摘されるなど、日本では政策的にも大きな問題となっている。今年度は、モバイル市場における携帯端末と通信プランとのバンドリングの影響を、2021年春における新料金プランの登場前後における状況変化も視野に入れつつ、市場競争及び経済厚生に対する影響を評価した。同時に、MNP(番号ポータビリティ)制度などのスイッチングコスト低減政策との関係についても考察を行った。競争促進的なバンドリングが必ずしも社会厚生を増進するものではないこと、またスイッチングコストの存在が、必ずしも競争阻害的でないことを議論すると共に、今後に予想される携帯端末と通信プラントの抱き合わせの新たな問題点について、指摘を行なった。本研究について、他産業への応用にも取り組んだ。電力システムを取り上げ、とりわけ2024年に完成する需給調整市場に注目した。2024年以降に本格始動する需給調整市場が果たす役割において、バンドリングの観点から、調整力のあるべき姿を集中型・分散型というシステム構成の違いに併せて論じた。
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Research Products
(6 results)