2017 Fiscal Year Research-status Report
環境と移民のフィードバック効果:内生的技術獲得と人的資本のスピルオーバー
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17K03682
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中田 実 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (50372545)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 環境と移民 / 教育獲得の内生化 / 環境汚染 / 気候変動 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度については、特に気候変動に関するモデルを構築するための基礎的なモデルの構築に着手した。まずは一般的な環境問題を念頭に置いたうえで、技能獲得を内生化、変動が移民に与える影響をモデル化するため、基礎的なモデルを構築した。人的資本が豊富な先進国への移民が発生する状態を説明するため、技能獲得を内生化した。次に、気候変動が生産関数や労働者の賃金水準決定に与える影響を内生化、気候変動が移民に与える影響をモデル化した。ポイントは、計算の複雑化を避けるため、気候モデルでは変動は効用に影響を与えないこと、未熟練労働者は移民費用の高さから移民が事実上不可能と仮定するなど、熟練労働者の移民決定以外の部分を出来るだけ単純化し、計算上の煩雑さを最小限にするような努力を行った。計算の複雑さを押さえることは、モデルの検証可能性を高める意味でも重要である。そのほか、モデル設定の際の助言を得るため、研究協力者となって頂いているカナダはブリティッシュコロンビア大学(UBC)のCarol McAusland 准教授を訪問した。McAusland氏からは、非常に基本的なモデルから開始し、徐々にモデルを拡張することの大切さを学ぶことができた。また、別の移民モデルを作成した経験から、基礎的なモデルの構築方法と、計算方法について助言を受けることができた。また、特に動学的な移民の決定プロセスに力点を置いてモデル構築を行うべきだというご助言を頂いた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目の目標は気候変動に関連する基礎的なモデル開発に費やすことになっており、概ねその目標を達成しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目には、まずは1年目に行った基礎モデルを完成させ、基本的なモデルの動きを比較静学を行うことで検証し、おかしな動きをするパラメーターがないかどうかチェックする。そのほか動きを現実的なものにするために、既存研究や研究協力者の助言を頂きながら、他に必要なパラメーターがないかどうかについてもチェックを行うが、その際に再びMcAusland氏からの助言をより詳細に頂くため、McAusland氏を名古屋大学に招聘する可能性がある。次に人的資本のスピルオーバー効果を導入し、移民が環境に与えうるフィードバック効果を検証するために、より一般的な一般均衡モデルを構築する。第三に完成したモデル分析の現実的な示唆をより詳細に得るため、シミュレーションを行う予定である。その際には計算ソフトが必要になってく。また、データと時間の制約を検討して、中国とカナダとの関係に対象を絞って進める所存である。その後、3年目以降の環境汚染に対する影響を分析するための準備として、文献レビューを並行して行っていくことにしている。
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Causes of Carryover |
次年度に使用する額が5584円ほど残ってしまったが、これは想定していた額より安価に購入できた物品があったためであり、年度末の会計締め切り直前に判明したため残額が残ってしまった。しかし、1万円以下と比較的少額であるため次年度の使用計画について大きな変更を必要としない。一方、次年度についてはより慎重に使用計画を策定する所存である。
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