2021 Fiscal Year Research-status Report
環境と移民のフィードバック効果:内生的技術獲得と人的資本のスピルオーバー
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17K03682
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中田 実 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (50372545)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 環境と移民 / 環境汚染 / 内生的技術変化 / 気候変動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,気候変動や環境汚染など環境問題が,途上国と先進国間など所得水準の異なる二国間の移民にどのような影響を与えるか,逆に移民が環境にどのよう な影響を及ぼすか,環境と移民とのフィードバック効果を分析するものである.熟練労働者の移民に焦点を置き,内生的技能獲得モデルを導入,人的資本のスピルオーバー効果が環境回復力や汚染削減技術に与えうる影響を考慮した理論モデルを,気候変動と環境汚染に関してそれぞれ構築,シミュレーションを行うことを主眼として,これまで分析を行ってきた. 前年度までに構築した環境問題に関する理論モデルをベースに,さらにモデルの洗練化を行うと同時に,引き続き詳細な比較静学分析を行った. 家族での移民問題を扱うが,その際,労働は移民前の自国で行い,配偶者と子供のみを主に先進国などの移民先国で扶養しつつ,生活費を自国から移民国宛に送付し,移民国側で,配偶者及び子供が教育その他の公共サービスを受けとる,という新しい移民のスタイルであるサテライトファミリー(衛星家族)に関する,簡単な動学モデルを構築し,衛星家族の子供のみ帰国可能性がある場合に絞って,詳細な比較静学分析を行った.検討の結果,均衡閾値を計算で導出することができた.本モデルをベースに,さらにモデルの拡張を行って,より高度な分析結果が得られるよう,モデルの改良を重ねることとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
今年度も感染症対策のため,海外の研究機関に所属する研究協力者とは,オンラインベースでの会議における意見交換が主となったが,直接的な研究交流を行うことができず,分析結果に関するより詳細な議論ができなかったことが,反省点として挙げられる.結果として,さらに1年間研究期間の延長を余儀なくされることとなった.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,研究期間をさらに1年延長するということで,既に結果の出た簡易モデルの拡張を含めた改良を行い,より明確な政策的インプリケーションについて,具体的に検討する.そのほか動きを現実的なものにするために,既存研究や研究協力者の助言を頂きながら,他に必要なパラメーターがないかどうかについてもチェックを行う.その際には,感染症対策の進展を睨みながらということではあるが,可能であればMcAusland氏からの助言をより詳細に頂くため,海外出張及び,McAusland氏を名古屋大学に招聘する可能性がある.第三に完成したモデル分析の現実的な示唆をより詳細に得るため,シミュレーションを行う予定である.その際には計算ソフトが必要になってくる可能性があるが,こちらも感染症対策の進展次第であるが,データと時間の制約を検討して,中国とカナダとの関係に対象を絞って進める所存である.
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Causes of Carryover |
今年度は感染症対策のため,海外の研究機関に所属する研究協力者とは,オンラインベースでの会議における意見交換が主となったが,研究費の主要な使途である直接的な研究交流を行うことができず,分析結果に関するより詳細な議論ができなかったことが,反省点として挙げられる.結果として,さらに1年間研究期間の延長を余儀なくされることとなった.
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Research Products
(2 results)