2019 Fiscal Year Research-status Report
Financial Inclusion, Remittance Inflows, and Poverty Reduction in Developing Countries
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17K03687
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
井上 武 神戸大学, 国際協力研究科, 准教授 (20450546)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 金融包摂 / 国際送金 / 金融発展 / 開発金融 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、研究課題について、1)英文共著と2)学術論文を出版し、研究の取りまとめを行った。1)英文共著については、発展途上国において金融包摂と国際送金が貧困削減に対してどのような効果を持ち得たかについて研究を行った。その成果は計7編の論文から構成される書籍として、2019年4月、「Financial Inclusion, Remittance Inflow, and Poverty Reduction in Developing Countries: Evidence from Empirical Analyses」というタイトルでシンガポールの出版社から刊行された。金融包摂と国際送金をそれぞれ個別に取り上げ分析する書籍はこれまで数多く出版されているが、金融包摂と国際送金を体系的に関連付けて途上国の経済成長と貧困削減に対する効果を実証的に分析した研究は本書が初めてであり、本研究課題の中心的な成果であると考えている。2)学術論文については、途上国の中でもインドに焦点を当て、同国における金融包摂と金融深化が貧困削減に対してどのような効果を持ってきたかについて分析を行った。インドは1国として世界最大の貧困層を抱える国であり、また金融包摂の促進を主要な政策目標として他国に先駆けて進めた国でもある。論文では金融発展を金融包摂(金融サービスへのアクセスと利便性の拡大)と金融深化(金融仲介機関の規模拡大)という異なる2つの観点から捉え、金融包摂と金融深化が貧困削減に対してどのような関係性を持っているかについて明らかにし、2019年4月、「Financial Inclusion and Poverty Reduction in India」というタイトルで査読付き英文ジャーナル(Journal of Financial Economic Policy)に掲載された。さらに、現在はインドにおける金融包摂の歴史と貧困削減効果について研究した和書の執筆を進めている。出版社と出版に向けた作業に入っており、この成果は2020年度中に刊行される予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究成果として、英文書籍1冊を刊行し、学術論文は5編(内、単著の英文査読付き論文は2編)執筆した。さらに、2020年度には和書の単著を刊行する予定である。しかし、2019年度末に予定していた海外での成果報告が新型コロナウイルスの感染拡大のため中止となった。このため、本研究課題を1年延長し、2020年度に再び成果の普及を図ることを計画している。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は本研究課題についての和文単著を刊行することを予定しており、昨年度に刊行した英文共著の書籍とともに、これらの成果普及に努めたいと考えている。具体的には、2020年度後半に国際学会に出席し、本研究課題に関する報告を行うことを計画している。
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Causes of Carryover |
2019年度末にシンガポールで本研究課題について成果普及を行う予定であったが、新型コロナウイルス感染拡大により同国への渡航が不可になり、その結果、当該助成金が発生した。2020年度後半に、実施可能な形で、海外での成果普及を行うことを現在計画している。
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