2017 Fiscal Year Research-status Report
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17K03689
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
水谷 淳 神戸大学, 海事科学研究科, 准教授 (60388387)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | FSC / LCC / 新幹線 / 市場競争 / DID分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
高速鉄道の開業によって 航空利用者が減少し,既存航空会社であるFSC(Full Service Carrier)が競合路線の便数を削減したり,撤退した場合にその路線の新たな担い手になる可能性があるのが,LCC(Low Cost Carrier)である.そこで,まずはLCCのフライト供給要因を明らかにするために,わが国よりもLCCのネットワーク構築が進んでいるタイとオーストラリアの国内線市場におけるFSC・独立系LCC・子会社LCCの競合関係について分析を試みた.2003年から2012年における各航空会社のスケジュールデータを用いて考察したところ,タイとオーストラリア両国のフライト供給において,FSCと独立系LCC,独立系LCCと子会社LCCでは対立的な関係が,FSCと子会社LCCでは代替的な関係があることが分かった. つぎに,運賃面からFSCとLCC,FSCと高速鉄道の競合関係を分析すべく,羽田空港発着の新規航空会社4社の参入路線について,運賃関数を推計した.新規航空会社は4社とも経営不振に陥り,ライバルでもある全日空の出資を受けることになった.さらにスカイマーク以外の3社は全日空とのコードシェアを行い,実質的に全日空の国内ネットワークを補完する航空会社となったが,新規4社のうち,唯一独立運航を貫いているスカイマーク(LCC)の就航は,競合する大手航空会社(FSC)のみならず他の新規航空会社の運賃も引き下げる効果を持つことが分かった.しかし,スカイマークとの競合路線よりも新幹線との競合路線の方が運賃水準が低いことが分かった.すなわち,FSCにとってLCCよりも新幹線との競争の方が厳しいことが示唆される.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度は国際学会のプロシーディングを1編執筆し,国際学会で2回,国内学会で1回の研究報告を行った.これらの学会以外にオーストラリアのUniversity of New South WalesとSouthern Cross UniversityのワークショップでもEffects of the Extension of High Speed Rail on Airfare in Japanと題して報告し意見交換を行った. さらには,カナダのUniversity of British Columbia交通研究所に短期滞在し,FSCと高速鉄道 / FSCとLCCの競合関係に関する研究についてAnming Zhang教授のレビューを受けた.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,昨年度から進めてきたFSCと高速鉄道 / FSCとLCCの競合関係に関する研究について,ワークショップ等での議論を生かして改善・拡張を行い,その研究成果を国内外の学会で報告して論文を執筆する. さらには,北陸新幹線の金沢延伸による消費者行動の変化を分析するために,羽田-富山線・小松線の利用に関して,富山・金沢でアンケート調査を行うべく,アンケート項目整理等の準備を進める.
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Causes of Carryover |
フライトと運賃に関するデータを購入予定であるが,注文するデータの仕様決定が遅れているため. 今年度にデータを購入する予定である.
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