2019 Fiscal Year Research-status Report
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17K03689
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
水谷 淳 神戸大学, 海事科学研究科, 准教授 (60388387)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | FSC / LCC / 新幹線 / DID分析 / 運賃関数 / FFP / コンジョイント分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までに,北陸新幹線の金沢延伸による航空市場への影響について,新幹線と競合する羽田―小松線・羽田―富山線の航空運賃に注目してDID(Difference in Differences)分析を行った.そして2015年3月の北陸新幹線の延伸直後に,両航空路線の運賃水準が低下し,運賃はその後も下落し続けていることを明らかにした.また下落幅は,小松よりも東京に近い富山線で大きかった.一方で,航空旅客数を見ると,両路線とも新幹線の開通直後に4割減少したが,その後は下げ止まっている. 航空と新幹線と比較すると頻度や所要時間は航空の方が概ね不利であるが,それでも航空が選択される要因として,航空会社の提供するマイレージポイントに代表されるFFP(Frequent Flyer Program)が考えられる.そこでFFPに対する航空旅客の限界支払意思額(MWTP: Marginal Willingness to Pay)を計測すべく,2019年9月に小松空港から羽田空港もしくは福岡空港に向かう旅客を対象に現地でアンケート調査を行った. この調査データを用いて,コンジョイント分析を行ったところ,マイレージポイントに対する旅客のMWTPは有意に正であり,さらにその値を旅客の属性別に見ると,ビジネス旅客の方がその他の旅行目的の旅客よりも,マイレージ会員の方が非会員よりも,さらには新幹線と競合する羽田線の旅客の方が競合しない福岡線の旅客よりも高いことが分かった.この結果は,マイレージポイントは航空運賃下落に歯止めをかけるのに一定程度有効で,その効果は特に新幹線競合路線におけるビジネス旅客に対してより大きいことを意味する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度は国際学会のプロシーディングに1編執筆し,国際学会で1回,国内学会で1回の研究報告を行った.
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Strategy for Future Research Activity |
これまで国内外の学会で報告して,その内容を改善させてきた,わが国におけるFSCと新幹線 / FSCとLCCの競合関係に関する研究成果をまとめて論文を執筆する.さらには,今年度に小松空港で実施した航空旅客アンケート調査の分析結果をまとめて,国内外の学会で報告し,論文を執筆する.
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの影響により研究成果の報告を予定していた研究会が延期となったため.
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Research Products
(4 results)