2017 Fiscal Year Research-status Report
Repeated games and international trade cooperation on non-tariff trade barrier
Project/Area Number |
17K03690
|
Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
太田 勝憲 和歌山大学, 経済学部, 准教授 (60403218)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 繰り返しゲーム / 非関税障壁 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、セーフガードの役割について、観察不可能な非関税障壁を考慮した繰り返しゲームを用いて分析することを目指して行う。本年度は、まず、貿易政策に関する先行研究のサーベイとモデル作りを行った。 先行研究については、一番関連があると思われるPark(2011, Review of Economic Studies)を読み、差別化できる点を確認した。また、関税の協調問題とセーフガードに関する研究(Beshkar (2010, Journal of International Economics)、Herzing(2013, Canadian Journal of Economics)など)についてもいくつか新しい研究論文を読み、この分野の研究の先端を概観した。 それと並行して、2国・2財の貿易政策のモデル作りと分析を行った。Parkは不完全私的観測モデル(相手の行動が見えない状況で、各プレーヤーがバラバラのシグナルを見て、相手プレーヤーの行動を推測するモデル)を利用し、コミュニケーションによって、私的シグナルを公的情報に変換しているが、本研究では、財の価格を公的情報とする不完全公的観測モデル(相手の行動の推測に利用するシグナルが公的情報であるモデル)を採用した。本研究では、価格情報である交易条件を公的シグナルとして利用する。交易条件は観察不可能な確率変数と各国の政策(非関税障壁と関税によって決まる貿易障壁の大きさ)によって決まるが、各国の政策は交易条件の分布を反対方向に動かす。この分布を確率優位の概念を用いてモデル化した。交易条件(相対価格)を公的情報として利用する非対称戦略(セーフガード戦略)を設計した。その戦略のインセンティブ条件を調べ、最適なセーフガード戦略を求める制約付き最適化問題を定式化した。 そして、ここまでの途中経過をまとめ、研究会で報告した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
モデルの構築、セーフガードを表現する非対称戦略の設計とその戦略のクラスでの最適戦略を探す問題の定式化まではできたが、最後の最適戦略の構築までに至っていない。また、後続の研究として、マルチマーケット・コンタクトの応用である多国間の政策協調を非関税障壁の貿易政策に応用することを考えているが、手をつけられていないため。
|
Strategy for Future Research Activity |
セーフガードを表現する非対称戦略の形をできるだけ一般化して問題を解くことを目指しているが、それが無理な場合は、設定を特定化するなど問題を簡略化し、結果を出す。そして、学会、学術雑誌に投稿できる形まで仕上げたい。
|