2017 Fiscal Year Research-status Report
複合事故災害リスクの削減に向けた比較制度・組織分析:経済実験によるアプローチ
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17K03692
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
後藤 大策 広島大学, 国際協力研究科, 准教授 (80432847)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | フィールド実験 / リスク選好 |
Outline of Annual Research Achievements |
複合事故災害は,自然災害を起因とする損害が,人為的要因によって拡大したときに発現し,大規模な社会機能の損失を導く.その人為的要因の本質は,災害リスクに対する選好・認知・予防行動の社会的な集合体であり,それらは制度や組織によって規定される当事者間の心理的・戦略的相互作用を経ることで,社会的なバイアスの影響を受けながら形成される.そこで本研究では,経済実験手法を用いて各当事者が所与とする制度や組織を統制することによって,社会制度や組織構造の違いが複合事故災害リスクに対する社会的選好・認知・予防行動の形成に与える影響を同定し,災害リスクを削減するための制度や組織の設計指針を明らかにする.この研究目的を達成するために次のような4つの主要研究課題を設定した. [1]ベンチマーク実験とその評価 [2]社会的選好・認知・予防行動の形成過程の解明 [3]制度や組織のパフォーマンス評価 [4]設計のための比較制度・組織分析. 平成29年度は, モデル構築とその理論分析を行い,実験計画を作ることから開始した.またベトナム北部農村でのフィールド実験(パイロット実験)を行い予備的データを入手した.またラオス農村家計を対象としたリスク選好顕示実験も行い,農村家計のリスク選好とコミュニティ・ベースの健康保険への加入行動の関係についても,明らかにすることができた.これらの研究成果を,ディスカッション・ペーパーとして取り纏め,広島大学学術情報リポジトリに登録・公表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以下の2つの理由により,おおむね順調に進展していると評価した. (1)ベトナム北部農村でのフィールド実験を予定より早く実施できた. (2)当初の計画には無かったラオスの農村家計を対象としたリスク選好顕示フィールド実験と家計調査を実施できたことで,農村家計のリスク選好とコミュニティ・ベースのマイクロ健康保険の加入行動の関係を同定できた.
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度(2年目)には,本研究の中核をなす研究課題[1]~[3]に,実験室実験とフィールド実験の両面から取り組み,オリジナルの質の高い実験データを得る.効率的に経済実験を展開するために次の工夫を行う. (1)実験計画法に基づいた直交実験によって,少ない回数で必要な情報を得る. (2)被験者の募集とその情報登録.謝金支払いを効率的に行うために,学内個人電子掲示板を通じたプッシュ型の通知と,被験者応募登録ウェブサイトを学内に開設する. (3)実験に遅刻や欠席をしない協力的な被験者については,別の実験にも優先的に参加できるように予め告知し,登録した被験者の実験参加と時間厳守の誘因を形成する. (4)暫定的な実験結果を速報値として取り纏め,国内の研究会やワークショップで報告する.そこで参加者からコメントや助言を募り,それらをフィードバックして実験・理論分析を重ねることで,更なる改善とレベルアップを目指す.
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Causes of Carryover |
(理由)海外の現地調査に関わる費目に関して,為替変動により若干の残額が発生したため次年度使用額が発生した. (使用計画)本研究の中核を成す実験室実験とフィールド実験を実施する.この実験参加者に対する謝金支払いにそのほとんどを充当する.残りはフィールド実験実施のための渡航費,および現地実験補助者の報酬,成果を取りまとめて発表するための論文校閲費,学会参加費および旅費に当てる.
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Research Products
(4 results)