2019 Fiscal Year Research-status Report
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17K03696
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
浦西 秀司 大阪市立大学, 大学院経済学研究科, 教授 (80362820)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水谷 文俊 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (60263365)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 構造分離政策 / 鉄道市場 / 実証分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題ではエネルギー・交通・通信産業における加盟各国の規制状況をOECDが取りまとめたものであるETCR(Regulation in Energy,Transport and Communications)データをもとに、構造分離政策が市場に与える影響について計量分析を行うことを目的としている。現在は、鉄道市場に与える影響として、構造分離政策が積極的に導入されているEU加盟各国を中心とした政策決定要因および市場に与える影響の分析を行っている。昨年度はパイロットテストの結果を論文として取りまとめたものを査読付き専門誌に投稿したが、本年度は当該論文について、レフェリーレポートにおける指摘を反映したモデルの推定を行った。推定結果より(1)旅客の鉄道シェアについて、貨物の鉄道シェアとガソリン価格はプラスの効果を、旅客運賃と垂直統合はマイナスの効果をもたらす。(2)貨物の鉄道シェアについて、旅客の鉄道シェアと公的所有はプラスの効果を、ディーゼル価格はマイナスの効果をもたらす。(3)鉄道ネットワークの密度や鉄道/道路ネットワーク比率といったネットワーク条件は、旅客または貨物の鉄道シェアに明確な影響を与えない。(4)構造改革や規制について、旅客の鉄道シェアはマイナスの影響を、貨物の鉄道シェアはプラスの効果を示す。また、政府債務と失業率は影響を与えないが、リベラル政権ダミーは構造改革/規制にプラスの影響を与えるといった点が明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画において本年度は昨年度に引き続きパイロット計量モデルの推定およびデータ補完を実施することとなっていた。現在は推定結果を論文としてとりまとめたものを英文査読付き雑誌に投稿中であり、レフェリーとのやり取りのもと、採択に向けた論文修正を行っている段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度は、引き続き採択に向けた論文修正を行っていくとともに、最終的な計量モデルの推定に向けた新たな研究プロジェクトに取り組んでいる。
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Causes of Carryover |
購入予定であったUIC StatisticsUIC(各年度約8万円)について、統計データ整備体制の見直しが進められていたUICの事情により既に購入済の2012年度版以降は発売されないことが明らかとなったため、および、2019年度は国際学会での発表を行わなかったため。今後、研究を進めるにあたって必要なデータ・資料・機器の購入、および、学会発表・海外研究者との研究打ち合わせのための旅費としての使用する計画であるが、後者については新型コロナウイルス感染拡大の影響によって国内・国際学会の中止・延期および大学による海外出張の自粛要請のため未定である。
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