2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K03698
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
森脇 祥太 大阪市立大学, 大学院経済学研究科, 教授 (00349200)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 政行 琉球大学, 法文学部, 准教授 (60546133)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 環境クズネッツ曲線 / 大気汚染物質 / 農業廃棄物 / 時系列分析 / 大気汚染物質 / 地域パネル分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年度はここまで、東アジア諸国の農業部門及び工業部門の廃棄物に関する計量分析を行い、国際誌への投稿を行い、成果を挙げてきた。東アジア諸国の農業部門の廃棄物については、農地に含まれる余剰物質の推計を行った。農地に留まる余剰物質の量は化学肥料や種子に含まれる窒素やリンの総量から収穫物に含まれるものを差し引いた値として推計される。推計された余剰物質の量と一人当たりGDPの間に、環境クズネッツ曲線の関係を描くことが可能か否かを中国、日本、台湾、韓国の4か国を対象として1960年以降2010年代に至る期間の時系列データを使用して検証した。その結果、特に中国の耕種農業部門において、耕地当たりの余剰物質は、環境クズネッツ仮説で説明されることが確認された。この場合、中国において今後、一人当たりGDPが増加するにつれて、耕地当たりの余剰物質は増加することが予想される。さらに中国においては、畜産部門でも同様な現象が生じることが確認される。 中国と異なって、台湾、日本、韓国においては、耕種農業部門由来の余剰物質の量は最大となる「転換点」を越えており、今後、減少することが予測される。一方、畜産部門においては、依然として「転換点」を越えておらず、今後、増大することが予測される。中国においては、耕種農業部門が、台湾、韓国、日本では畜産部門が、余剰物質増大の中心となると予測され、対策が必要となる。 さらに中国の工業部門において、1990年以降2010年代に至る地域パネル・データを使用して、NOX,SOX,CO2等の大気汚染物質における環境クズネッツ仮説の検証を進めた。農業部門の場合と同様、中国工業部門において環境クズネッツ仮説が成立しており、「転換点」以前の状況であるため、今後、一人当たりGDPが増加するにつれて汚染物質が増大する可能性があり、政策的対応が求められることが確認された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2017年度は農業部門の研究で査読付き国際誌であるAsia-Pacific Policy Studies、工業部門の研究で日本の査読付き学会誌である経済政策ジャーナルに英文雑誌として掲載されており、最低限の基準は越えていると判断される。また当初予定していたマクロ時系列分析と地域パネル分析について業績を出しており、順調に研究が進行していると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
2018年度は、農業部門、工業部門ともに地域パネルデータを使用した環境汚染物質の環境クズネッツ曲線を推定したい。その際、計量経済学の新しい方法である空間計量経済学の手法を使った分析を行いたい。さらにミクロ分析をインドネシア農業を対象として本格的に行う前段階として、日本の農業もしくは関連産業を対象としたミクロ計量分析を行いたい。
|
Causes of Carryover |
分担者が主に中国関連書籍を直接輸入で購入した結果、為替の変動要因等で当初の見積もりと異なる価格となって次年度使用額が生じた。次年度も同様の方法で中国及びインドネシアの関連書籍を購入するため、為替の変動要因が考えられ、それに対処するための資金として使用可能である。
|
Research Products
(3 results)