2020 Fiscal Year Research-status Report
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17K03698
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
森脇 祥太 大阪市立大学, 大学院経済学研究科, 教授 (00349200)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 政行 琉球大学, 国際地域創造学部, 准教授 (60546133)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 製糸業 / 技術普及 / 生産関数の推定 / 明治前期 / 環境クズネッツ曲線 / 中国 / 工業廃棄物 / 農業廃棄物 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は明治前期の日本の製糸業を対象とした研究及び、2010年代の中国の都市データを使用した産業廃棄物の要因分析を行い、双方の結果を査読付きの国際誌へ投稿した。前者については数度の修正を経て、現在、査読中であり、後者については掲載が許可された。 1880年代後半の岐阜県と山梨県の器械製糸業の地域における普及要因を需要サイドと供給サイドからそれぞれ観察した。修正されたパネル推定の結果から、供給サイドの要因(生糸生産地であることと諏訪地域からの距離コスト)が強く器械製糸の普及に影響していることが確認された。さらにプラントレベルのパネルデータを構築し、生産関数の推定を行った。1880年代の器械製糸業の生産技術は収穫一定であり、強く中間投入財依存型である。さらに人的資本の生産に与える影響が確認された。また山梨県の全要素生産性は岐阜県を上回っており、明治前期における地方政府による器械製糸導入が果たした役割が関係していると思われる。以上の成果は、経済史関連の国際誌に投稿され、現在、数度の修正を経て査読中である。 中国の廃棄物の要因分析に関しては、査読付きの国際誌に投稿され、数回の修正を経て、年度内に掲載が許可された。農業と工業の廃棄物についての環境クズネッツ曲線を同時に推定した先行研究が少なく、排気量やその効率性がピークとなる一人当たりのGDPの計測等を行ったことが掲載につながったと考えられる。さらに、産業構造、人口規模、海外直接投資等の要因の影響についても計量的に確認しており、評価されたと考えられる。来年度は、日本については、繊維産業から機械工業へと対象とする産業を拡大し、1930年代の地域データを整備し、エネルギーと他の生産要素の代替弾力性の計測を行いたい。またインドネシアのミクロデータの整備を行い、農業の全要素生産性とエネルギー効率性についての計量分析を行いたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は明治前期の日本における製糸技術普及の研究と2010年代の中国における工業及び農業廃棄物と経済成長の関係についての研究の2つの成果を査読付きの国際誌へ投稿し、前者は修正中であるが、後者は採択となった。修正過程で多くの有益なコメントを得て、的確な修正を行うことが出来、研究の精度が高まったと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、国際誌へ投稿中の明治前期の日本における製糸技術普及に関する研究の掲載を目指して、的確な修正を行う。更に、今年度は、戦前期大阪の機械工業を対象としてエネルギーを含む生産関数の推定を行いたい。またインドネシア農業及び工業のマイクロデータの整備を行い、計量分析を行いたい。
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Causes of Carryover |
コロナウィルスの国際的蔓延により、予定していた国際会議や海外大学での研究発表が中止となり、旅費による資金消化が出来なくなった。
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