2017 Fiscal Year Research-status Report
就職困難者の「とりあえず」就業行動に関する理論的実証的研究
Project/Area Number |
17K03704
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Research Institution | Chiba Keizai University |
Principal Investigator |
中嶌 剛 千葉経済大学, 経済学部, 准教授 (30624837)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | とりあえず就業 / とりあえず志向 / 多義的曖昧性 / キャリア形成 / フリーター / ニート |
Outline of Annual Research Achievements |
様々な理由により就業行動に踏み出せない就職困難層の実態を探り、就業促進に向けた政策提言を行うことを目的として、「とりあえず就業」という潜在意識の切り口からの分析を可能にするデータベース化を行った。 まず、第一調査「若手社員の心理行動調査」(Web調査&質問紙調査,2017年実施)では、「とりあえず正社員」データとして、民間企業の正社員2,217名のデータを収集した。また、第二の調査「フリーター・ニートのキャリア形成に関する意識調査」(質問紙調査,2016年実施)は、「とりあえず未就業層」データとして、15~44歳のフリーター・ニート1,001名のデータを収集・整理することができた。いずれの回収データもデータマイニングを完了し、すでに量的分析に取り掛かっている。前者の正社員データについては、就職氷河期世代か無氷河期世代かという世代効果の影響を考慮した分析を、後者データについては若年フリーター・壮年フリーター・ニートの属性に分けたコーホート分析を進めている。 また、実証分析結果の一部は、すでに複数の学術雑誌に投稿(査読中)している他、日本キャリア教育学会(2017年10月)、行動経済学会(2017年12月)、日本労務学会(2018年6月)で学会発表を行っている。 加えて、本研究を国際比較の視点から分析可能にするために、海外研究動向のサーベイ調査をTA(Tolerance of Ambiguity)の観点から進めている。現在進行中のサーベイ調査の結果は2018年11月24~25日の国際学会(第12回アジアデザイン文化学会国際研究発表大会)にて報告する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2017年度に新たに実施した「若手社員の心理行動調査」により回収した正社員データは、当初の目標値3,000には及ばなかったものの、統計分析に耐えうる必要最低限のサンプル数は確保できている。また、2016年度に実施・回収済であったフリーター・ニートのデータとの比較分析も可能な状態にあり、進捗はほぼ研究実施計画の通りである。
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Strategy for Future Research Activity |
本プロジェクトの初年度(2017年度)に主に実施してきた量的調査に対して、追加分析、および、結果の解釈を行っていく。とりわけ、多義的曖昧性の観点から先行分析の結果を踏まえながら、「正社員データ」と「フリーター・ニート層データ」の比較検討をSTATA(統計解析ソフト)を用いて行う予定である。 また、「とりあえず未就業者」(「とりあえず就業者」も含む)への聞き取り調査をテキストマイニング手法が可能になる程度まで継続する。
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Causes of Carryover |
平成29年度中に、急遽、本テーマに基づく博士学位論文を平成31年秋頃に提出する体制が整った。そのため、本計画の最終年度に当たる平成31年度には緻密な分析および論文執筆に多くの時間を割かれることが予想された。 したがって、当初、本計画の中盤以降に予定していたフィールドワーク(インタビュー)や計量分析を前倒しして行う必要が生じた。それ故、前倒し支払い請求を行ったものの、現時点では質的調査(インタビュー)の進捗が芳しくないため、次年度以降にはフィールドワークおよび計量分析に必要な統計ソフトの購入に充てる予定である。
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Remarks |
『私見卓見OPINION「とりあえず」でも就業促進を』日本経済新聞2017年5月10日号(朝刊)28面
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