2019 Fiscal Year Research-status Report
Trade Poilcy and Endogenous Choice of Product Characteristics
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17K03706
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
椋 寛 学習院大学, 経済学部, 教授 (90365065)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小森谷 徳純 中央大学, 経済学部, 准教授 (40548088)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 貿易政策 / 製品差別化 / ライセンシング / アンチダンピング / 地域貿易協定 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究年度3年目にあたる本年度は、昨年度に実施した研究をまとめつつ、関連研究をさらに進め、国際学会等で報告を行った。
研究代表者は、自由貿易協定(FTA)や関税同盟(CU)の締結による域内国の域外関税の設定と企業の製品差別化戦略との関係を論じた理論分析をさらに進めた。また、関連研究として、関税引下げとアンチダンピング措置発動の関係について理論的に考察を行った。財の輸入国の関税引下げがその国のアンチダンピング措置発動のインセンティブを高めるか否かはダンピングの理由に依存し、特に市場規模の差による第三者価格差別がダンピングの主要因である場合には、関税引下げはアンチダンピング措置の誘因を高めること、一方で不完全な関税パススルーや輸入国市場での競争が激しいことがダンピングの理由である場合には、関税引下げが逆にアンチダンピング措置の誘因を低下させることが示された。関税引下げとアンチダンピング措置の関係については、実証的には多く論じられてきたが、理論的な側面から両者の関係を詳細に論じた研究はこれまでなく、学術的な貢献度とともに政策含意が大きい。本論文は年度内に査読付き学術誌に投稿し、審査に上改訂要求を受けている。さらに、途上国において特定の財の最初の輸出者(Export Pioneer)が最初の生産者(Production Pioneer)であるかについて、理論を構築しインドネシアのデータを用いて実証分析をした。最初の生産者が最初の輸出者に必ずしもなるわけではなく、海外経験や競争効果など、様々な条件に左右されることが明らかにされた。研究成果は国際学会で報告され、査読付き学術誌に投稿されている。
研究分担者は、不完全競争下における国際的な技術ライセンシングのモデルを用いて,政府が,自国企業に海外企業からの技術ライセンスを「受けさせない」ように貿易政策の水準を設定する可能性を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者は、主研究であるFTAと製品差別化に関する理論分析(①)をさらに進めているが、未だ学術雑誌への投稿に至っていない。昨年度より実施しているFTAと移転価格に関する研究(②)や、アンチダンピングと貿易自由化の関係などの関連研究(③)、輸出と生産のパイオニアに関する研究(④)については、順調に実施されており、学術誌への投稿も行っている。年度末に国内ワークショップでの報告を予定していたが、新型コロナウイルスの影響によりキャンセルされたことも影響している。
研究分担者は,過年度からの継続として製品差別化と移転価格に関する研究(⑤)を実施した。またそれに加えて,製品差別化と技術ライセンシングに関する研究(⑥)も開始した。研究全体の管理が甘く,研究の範囲を広げたために、⑤の研究をまとめ切るには至らなかった、また⑥の研究についても製品差別化を明示的に組み込む形での分析は実施できなかった。
幸いなことに,次年度が研究プロジェクトの実施延長年となるので,研究代表者は①を精力的に進めつつ、②の学術雑誌への受理を目指したい。また研究分担者は、主研究に①のまとめと②の分析拡張を精力的に実施したい。
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表者は、FTAと製品差別化の関係を論じた論文をより深化させ、学会発表や国際学術誌への投稿を行う。また、既に学術雑誌へ投稿している論文に関しては、正式な受理を目指す。研究分担者は、本年度の研究実績・研究発表に記載したライセンシングの研究は製品差別化を考慮した分析まで行えておらず、今後はそのような拡張を実施するとともに、移転価格と製品差別化に関する研究をまとめる。
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Causes of Carryover |
年度末に国内ワークショップに参加する予定であったが、新型コロナウイルスの影響によりキャンセルとなり、次年度に繰り越す必要が生じた。
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Research Products
(1 results)