2019 Fiscal Year Annual Research Report
Re-evaluate monetary policy under deflation
Project/Area Number |
17K03708
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
寺西 勇生 慶應義塾大学, 商学部(三田), 教授 (50710456)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 最適金融政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、名目金利をゼロパーセント以下に引き下げることができない、いわゆる流動性の罠に陥った状況下での金融政策のありようについて(再)考察を行うことを研究目的としている。研究成果として、2つの論文の執筆を終了して、現在は世界的に高く評価されているトップジャーナルに一本は掲載済み、もう一本は投稿に向けて準備を行っている。1つ目の論文である、「Role of Expectation in a Liquidity Trap」では、インフレ期待が固定(anchor)された場合や、慣性的な動きをする場合に、流動性の罠の下で金融政策の効果がどう変化するのかを分析している。当該論文は、審査を経て、Journal of the Japanese and International Economiesに既に掲載済み。2つ目の論文である、「Liquidity Trap and Optimal Monetary Policy Revisited」では、流動性の罠(ゼロ金利政策)の下で、インフレ率に慣性的な動きがある場合の最適金融政策を分析している。分析を通じてインフレ率に慣性的な動きがある場合には、最適なゼロ金利政策の実行にあたっては事前対応が重要になることが明らかになった。つまり、ゼロ金利政策の解除にあたってはインフレ率が大きく上昇する以前にゼロ金利政策を解除する必要があることになる。この結果は、従来の研究結果とは大きく異なり、インフレ率に慣性がある下では、Front-loading tightening(予防的な引き締め)が金融政策運営に求められることを示している。当該論文は、ジャーナルへの投稿に向けて最終的な修正を行っている。
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Research Products
(1 results)