2019 Fiscal Year Research-status Report
バンドスペクトラル回帰分析を用いた為替レートと実体経済変数の関係に関する研究
Project/Area Number |
17K03709
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
和田 龍磨 慶應義塾大学, 総合政策学部(藤沢), 教授 (20756580)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 為替レート予測 / バンドスぺクトラル回帰 / 予測精度の検証 / LASSO |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き、①バンドスぺクトラル回帰を使った予測精度を統計的に検定すること、及び②ベイズモデル平均法によって予測精度が向上するか否か、③データを周波数領域にし、LASSOを使うことによって予測精度の向上についての検討を行った。このうち、①についてはClark and McCracken (2013)のブートストラップ法に基づく検定を行い、興味深い結果として、テイラールールによる予測よりも、購買力平価による予測が長期先の予測には有効であることが分かった。このことは、1期先の為替レートの予測には、従来テイラールールを使った予測が正確であることが知られて(Molodtsova and Papell, 2009)いたが、長期の予測についてはMark(1995)などがあるものの、漸近分布によらず統計的に適切な方法で検定することはなされていなかったことを踏まえると重要な発見であると思われる。 また、②についてはベイズモデル平均法は予測については一般に考えられるよりも予測には有効でないことが分かった。しかしながら、事前分布を変えたときにどのようになるかについては詳細に検討しておらず、今後の課題としたい。 さらに③のLASSOについては有効性が認められるものの、どのようなデータについて有効なのかについては確実にはわからなかった。1点挙げるとすればデータに構造変化が認められる場合にはLASSOが予測に有効ではないケースがかなり存在した。しかしながら、LASSOを用いた予測では、予測を最も正確にするハイパーパラメターの値がほぼ確実に見つかることから、今後のさらなる研究で有効な予測の方法として実用化を図りたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
数回にわたる国際学会での発表、そしてそこで得られたコメントをもとに改定を重ねた結果、本研究成果の1つである論文を2019年度末までに専門誌に投稿することができた。無論、最終的に掲載が決定するまでには改定を繰り返す必要があると思われるため、本研究課題の研究期間が終了したとしても、研究課題が終了するまでには早くても1年程度要すると思われる。なお、2019年度末にクロアチアで行われる国際会議に役員及び論文発表者として参加する予定であったが、世界的な新型コロナウイルスの蔓延によって中止せざるを得なかったため、急遽本研究期間の延長を申請した。
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Strategy for Future Research Activity |
最大の目標は専門誌に掲載されるように改定を重ねてゆくことであるが、一方で問題として残されている、LASSOを周波数領域を用いた予測問題に使う場合の有効性についての検討を行う必要がある。特にハイパーパラメターの選択に当たって、過去のデータによる予測を最適にするパラメターを使うというアプローチが望ましいのか、あるいは事前に何等かの方法によって決めておく方が構造変化などが存在しうる場合には望ましいのかについて考察を行う予定である。
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Causes of Carryover |
2019年度末にクロアチアでの国際学会に参加予定であったが、新型肺炎の世界的蔓延により国際会議が2020年夏に延期となったため、次年度使用額が発生した。この使用額は当該国際会議の参加に要する経費に充当する予定である。
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Research Products
(2 results)