2020 Fiscal Year Research-status Report
アジア途上諸国における地域内・地域間の所得格差:その実態と要因の分析
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17K03714
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
林 光洋 中央大学, 経済学部, 教授 (80367672)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 地域間格差 / 地域内格差 / 社会階層 / 教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年2-3月に実施したインド現地調査では、同国の社会・経済発展と、それにともなう格差や貧困の状況を観察することができた。インド全体の平均所得は増加し、貧困者比率は減少しているものの、格差指標は改善していない。そのことを、デリーの中でもスラム地域をはじめ低所得者が住む地域とそうでない地域の格差は大きいこと、さらに、首都であり、都市部のデリーとグジャラート州の農村部の間では所得、生活関連のサービス/インフラへのアクセスの格差が大きいことを、データ、議論、実際の観察を通して確認した。これらの格差の現状やそれに対する懸念を、国際機関の職員、現地の研究者、企業の幹部、NGOの代表者、住民と共有した。カーストをはじめとする身分制度(指定カースト/指定部族等後進階層の存在)とそれにともなう教育格差が所得格差に大きな影響を与えている現実を知ることができた。 2020年度は、前述の現地調査を通じて知りえたことを参考にしながら、インドの空間的な所得格差(家計所得ではなく、家計消費支出で所得格差を計測)に社会階層の違い(指定カースト/指定部族等後進階層vs非差別階層)や教育の違い(学歴、就学年数)がどの程度影響しているのかについて、研究の見直しを行なった。地域内(都市・農村内)および地域間(都市・農村間)の所得格差に対して、教育の違いだけではなく、社会階層の違いも影響していることをあらためて確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度は、新型コロナウィルス感染症の拡大にともない、多くの制約が生じた。そのため、研究に当初計画をしていた時間を配分することができなかった。また、研究対象国に入国することができなかったため、予定していた現地調査を実施することがかなわなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は本研究の最終年度になるので、新型コロナウィルス感染症の影響をなんとか最小化し、フィリピン等研究対象国で現地調査を実施して、研究結果の見直しを行ないたい。
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Causes of Carryover |
2020年度は、新型コロナウィルス感染症の影響で、研究に計画通りの時間を配分することができなかったこと、研究対象国への現地調査を実施できなかったこと、等が重なり、研究費を執行することができなかった。2021年度についても、新型コロナウィルス感染症の影響を予測できないが、フィリピンをはじめとする研究対象国で現地調査を実施し、研究の見直し、まとめを行なうための費用等として使用したい。
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