2022 Fiscal Year Annual Research Report
Empirical Analysis of Consumer Behavior using Household Inventory Data
Project/Area Number |
17K03720
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
加納 和子 早稲田大学, 商学学術院, 准教授 (20613730)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 家庭内在庫 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は主にコロナ禍における消費者行動の変容について分析を行った。分析対象とした主要データは2019年12月から2020年8月にかけての東京都におけるトイレットペーパーの消費者別・取引別購買データである。分析期間は新型コロナ感染拡大の初期であり、第1波と第2波、そして第1回目の緊急事態宣言期間を含む。また、2020年2月下旬からトイレットペーパー供給不足の噂が広がるなど、消費者行動に少なからぬ影響を与えたイベントがあった。分析では平時の購買行動と比較するため、2015年の購買データと消費者レベルでの接合を行い分析を行った。現時点での主要な結果は、以下の通りである。①新型コロナ感染者数と購買量および購買頻度との有意な関係はみられなかった。②第1回目の緊急事態宣言時は購買頻度が有意に低下した。③トイレットペーパーの供給不足が噂されたとされる期間には、購買量および購買頻度の増加がみられ、いわゆる買いだめが確認された。現時点での研究の限界として、結果③におけるトイレットペーパー供給不足の噂が広まったとされる期間を特定期間に1の値をとるダミー変数で表している点がある。この点については、今後SNSの情報などを収集することにより、データの充実を図りたいと考えている。また、誘導系によるブランド選択行動および考慮集合を取り入れた静学モデル分析の論文執筆、在庫保有を含む動学的購買モデルのシミュレーションおよび推定も進めた。現時点の問題点として、ブランドの分類および購入対象以外の製品価格の情報の不十分さにより、推定結果の信頼性が十分とは言い難い点がある。より詳細かつ広範な商品情報を含めることにより、これらの課題改善の検討を続ける予定である。
|