2018 Fiscal Year Research-status Report
国際貿易、観光、環境に関する経済理論モデルの構築とその分析
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17K03725
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| Research Institution | Rissho University |
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Principal Investigator |
河原 伸哉 立正大学, 経済学部, 教授 (50447207)
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2017-04-01 – 2020-03-31
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| Keywords | 観光税 / 観光ブーム / 混合寡占 / 不完全競争 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究計画は、交付申請書に記載の通り、(1)モデルを用いた現実的政策課題の検討、(2)同モデルの精緻化である。(1)については、観光税と他の政策手段の比較検討が主目的であった。
(1)については、当初は観光税と労働所得税など他の租税政策との比較を想定したが、国際学会での成果報告の際、当該モデルの他の現実的政策課題（統合型リゾート（IR）施設の規制）への適用に関する重要な示唆を得られたため、本モデルを用いて、IR施設の入場料規制とライセンス規制を比較検討することとした。具体的には、当該国におけるIRサービス市場における需要側が、当該国の居住者と外国人観光客で構成され、供給側は、それらサービスを供給する少数の私企業から成る寡占市場モデルを構築し、政府が当該国の経済厚生を最大化にすべく入場料の水準を決めるケースとライセンス数を選択するケースを比較し、どちらがより優れた政策手段となるかを検討した。
(2)については、前年度に構築した理論モデルが、完全な公企業と私企業が競争する最も単純な設定であるため、より現実的な設定である「部分的に民営化された企業」が存在するモデルへと拡張・分析を試みた。また、申請書にも記載したように、数値解析ソフトウェアを用いたシミュレーション分析を行った。今度は、より明確な結果を導出することを目指す。本年度の研究成果としては、前年度の成果をまとめた論文を、西海岸経済学会（Western Economic Association International）第93回年次大会（2018年6月）において報告した。また、得られたコメントを基に論文の修正を施し、立正大学『経済学季報』誌に公刊した。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
国際貿易と観光に関わる理論研究を３つの側面から発展させることを目的とする本研究課題における本年度の研究実施計画の主目的の一つは、第2の側面である「構築されたモデルを応用し、現実的政策課題を検討する」ことであった。
当初の計画では、交付申請書の研究実施計画欄(2-1)(2-2)にも記載の通り、観光税と労働所得税を一般均衡モデルの枠組みで比較検討することを想定していたが、上記「研究実績の概要」欄でも述べた事情により、入場料（観光税）とライセンスによる規制を比較検討することとなった。従って、現時点では、労働所得税と観光税の比較検討には至っておらず、そのような評価とした。また、研究実施計画欄（2-3）における数値解析ソフトウェアを使用したシミュレーション分析については、「部分的に民営化された」公企業と私企業が競争するモデルを用いた分析を実施している。
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| Strategy for Future Research Activity |
先述のとおり、本年度においては、(1)前年度に構築したモデルを用いた現実的政策課題の検討、(2)同モデルのさらなる精緻化を実施した。しかしながら、当初の計画である、観光税と労働所得税の比較検討は実施できなかった。従って、まずは、完全競争市場の枠組みで労働供給を内生化した一般均衡モデルを構築し、観光税と労働所得税の比較分析を進めたい。さらには、本研究課題における第３の側面である「環境への影響」については、可能な限り早い段階で、観光需要の増大や政策手段の変化が、一国の環境水準と経済厚生に与える影響について分析を進めたい。
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| Causes of Carryover |
本年度の研究課題の実施については、大枠で捉えると予定どおり実施・執行できたが、前年度と同様に旅費の使用が予定を下回ることとなった。次年度も、本年度使用を予定していた国内研究会・国際学会など旅費の執行を早い段階で実施したい。
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