2021 Fiscal Year Annual Research Report
Theoretical research on international trade, tourism, and the environment
Project/Area Number |
17K03725
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Research Institution | Rissho University |
Principal Investigator |
河原 伸哉 立正大学, 経済学部, 教授 (50447207)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 観光税 / 混雑効果 / 環境劣化 / 租税改革 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度においては、前年度の実績報告書に記載した通り、残された研究実施項目である、環境への配慮を考慮した観光問題の分析を前年度に引き続き実施した。分析において用いた理論的フレームワークは、Bovenberg and Goulder (Handbook of Environmental Economics Vol. 3, 2002)において展開された一般均衡モデルをベースとしており、それらにCornes and Sandler (Cambridge University Press, 1996)等に従って混雑効果を導入することでモデルを拡張したものである。構築された理論モデルを用いて、まずは、一括税が利用可能な最善の最適下における観光税の水準を特徴付けた。その上で、一括税が利用不可能な次善の最適下の状況における最適な観光税の水準を特徴付け、それらが最善の最適下の水準からどのように乖離し得るのかについて検討を行なった。
周知の通り、昨今のコロナ禍によって、我が国を訪れる外国人観光客は依然として厳しく制限されている。他方で、海外における一部の国々においては、そのような制限の緩和も既に検討・実施されており、我が国においても、そのような規制・制限の緩和も検討され始めている。訪日外国人観光客数がこれまでのような水準に回復すると、他方では、それまで懸念されてきた、いわゆる、観光公害の問題が生じることも予想される。本研究において分析・検討された観光消費の増大がもたらす負の外部性や混雑効果と最適な観光税の水準の関係は、そのような問題の解決の方向性について一定の示唆を与えることが期待でき、本研究の政策面での意義であると考えられる。
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