2019 Fiscal Year Annual Research Report
Market structure, technology choice and trade liberalization through a formation of FTA
Project/Area Number |
17K03735
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
野村 良一 立命館大学, 経済学部, 教授 (60465599)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | FTA / Technology Choice |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的は、急増する自由貿易協定(Free Trade Agreement; FTA)に関して、非対称的な2国によるFTAが非常に多いという今日的特徴に着目して、非対称的な2国間でのFTAが世界全体の貿易自由化を促進するか否かを理論的に検討することである。平成31年度/令和1年度は、前年度に引き続き「企業の技術選択がFTAの形成ならびに多国間での貿易自由化(Multilateral Free Trade; MFT)の促進に与える影響」を主たる研究課題とし、企業の技術選択(費用削減的なR&D投資活動)とFTA形成の関係について、以下に示す3段階ゲームを用いて考察した。第1ステージにおいて、各国企業は、限界費用の高い旧技術を用いるか、費用削減的R&D投資活動を行うことで限界費用の低い新技術を用いるかという技術選択を同時に行う。第2ステージにおいて、各国政府は関税水準を決定する。第3ステージにおいて、各国企業はクールノー競争を行う。 平成31年度/令和1年度の取り組みによって以下の主たる結論を得た。2国間FTAの形成は、FTA加盟国企業の新技術採用を促進する傾向があるが、新技術の採用を抑制する場合がある。また、新技術の採用企業数に影響を及ぼさない場合であっても、FTA加盟国企業の新技術の採用を阻害する可能性がある。いずれのケースにおいても、2国間FTAの形成は各国の経済厚生および世界全体の経済厚生を増加させる。 以上の分析結果は、FTAの形成は、たとえ加盟国企業の新技術の採用を抑制したとしても、加盟国の経済厚生を高めることを示しており、企業の内生的な技術選択は2国間FTAの形成を阻害しないことを示している。また、FTAの形成は、非加盟国の経済厚生も増加させるため、各国および世界全体の経済厚生の観点からも望ましいものと言える。
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Research Products
(2 results)