2018 Fiscal Year Research-status Report
State Owned Enterprises in Liaoning Industry and Slow down of Chinese Economy
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17K03736
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
松野 周治 立命館大学, 経済学部, 授業担当講師 (10128457)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
曹 瑞林 立命館大学, 国際教育推進機構, 教授 (90341619)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 遼寧省 / 経済回復 / 国有企業改革 / 瀋陽機床集団 / 瀋陽鼓風機集団 / 瀋陽遠大集団 / 地方税体系 |
Outline of Annual Research Achievements |
現地政府系シンクタンクによる『2018年遼寧経済社会形成分析与予測』、中国国家統計局HP「国家数据」などから遼寧省および国有企業に関する基礎データを引き続き収集し、2017年のGDP、工業付加価値額などが前年のマイナスからプラスとなり、遼寧省経済が、2011年から6年続いた成長率低下を克服したこと、しかし、依然として全国平均を下回るとともに、将来の発展の基礎となる固定資産投資額がわずかに0.1%にとどまっていることなどを把握した。 こうした作業の上で、2018年8月、遼寧省老年科学技術工作者協会、東北財経大学経済社会発展研究院,同大学遼寧(大連)自由貿易区研究院等の支援を得て,中国遼寧省瀋陽市および大連市を訪問,国際学術フォーラム「新時代の遼寧:イノベーション駆動戦略で企業改革と発展を牽引する」および学術交流研究会を開催するとともに、国有企業2社(瀋陽機床集団,瀋陽鼓風機集団)および民営企業1社(瀋陽遠大集団)を訪問・調査した。国有企業の技術革新(製造技術およびアフターサービスなど)、民営企業の事業拡大、現地研究者や政府関係者の見解等については、松野他「調査報告:遼寧省経済の『回復』と企業新展開―2018年8月瀋陽―」(『社会システム研究』第38号、2019年3月)としてまとめた。また、「体制移行の罠」の現状や遼寧省地方財政に関する2年間の研究を基礎に、松野2019、曹2019の学術論文をまとめた。 2019年2月には東北財経大学経済社会発展研究院院長他を招き国際学術交流研究会「遼寧経済分析―国有企業改革との関わりで―」を開催、人材流出等の新たな論点から、遼寧省並びに国有企業の問題分析を深めた。 なお、2018年8月の調査において計画していた大連自由貿易試験区訪問が暴風雨により実施できなかった。同試験区を含む遼寧経済の対外開放と自由化の新たな段階把握は、2019年度の課題とした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、遼寧省経済の中核、 国有工業企業に焦点を当て、「体制移行の罠」 の現状と克服可能性について考察することを目的としている。 2018年度は「遼寧省経済および国有工業企業に関する基礎データの収集分析(第2次)と瀋陽調査」を主課題に、実施計画どおり以下の研究を進めた。 1.政府系シンクタンクによる『2018年遼寧経済社会形成分析与予測』や中国国家統計局HP「国家数据」』等を用いて遼寧省経済および国有工業企業に関する基礎データ収集を2017年まで延長するとともに、分析を深めた。瀋陽、大連、京都で開催した国際学術フォーラム、研究会等での現地研究者や政府関係者との交流を通じて、問題の背景と現状、克服の基本方向等についての分析を進め、その成果を韓国東北亜経済学会年次大会(2019年2月、ソウル・成均館大学)での招待講演、『経済科学通信』第147号(2019年1月)および『立命館経済学』第67巻第5・6号(2019年3月)での学術論文等で公表した。 2. 国有企業が集積する瀋陽で現地調査を実施(2018年8月、機械系大型国有企業2社の生産技術高度化、クラウドコンピューターを用いたサービス網構築等について確認するとともに、民営大企業における事業拡大と高度化のプロセスを把握した。遼寧老年科学工作者協会等との共催シンポジウム、東北財経大学経済社会発展研究院等との学術交流研究会の内容なども含めて、その成果を『社会システム研究』第38号(2019年3月)で公表した。なお、予定していた大連自由貿易区調査は、台風による悪天候のため中止、2019年夏に実施することとした。 3. 東北財経大学から海外研究協力者を招き、学術交流研究会「遼寧経済分析―国有企業改革との関わりで―」(2019年2月、立命館大学)を開催、研究を深めるとともに、最終年度の大連等現地調査並びに研究交流について協議し計画を定めた。
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Strategy for Future Research Activity |
補充現地調査を実施するとともに、「遼寧省国有企業から見た中国経済と『体制移行の罠』」をテーマに3年間の研究をまとめる。 1. 各種統計年鑑、白書、公的機関HP、現地調査を通じて明らかになった遼寧省国有工業企業の生産と事業高度化の実態分析、および遼寧省経済研究を総括する。また、中国全体の経済成長鈍化、および国有企業改革、国有経済研究をふまえ、中国全体に対して遼寧省が有ずる教訓や啓示を明らかにする。最も深刻な問題を抱えている遼寧省における国有企業改革の現状と問題点、その背景、並びに、問題克服のために現地でなされているさまざまな努力などを踏まえて、中国全体の今後の経済発展と「体制移行の罠」 克服可能性に関する研究をまとめる。 2. 2018年度に実施できなかった大連自由貿易試験区の調査に加え、遼寧沿海経済帯発展戦略等、遼寧省経済で重要な地位を占める丹東市を対象に補充現地調査(2019年8月、4泊5日、松野・曹)を、東北財経大学経済社会発展研究院等の協力を得て実施する。あわせて、現地において、同研究院および東北財経大学自由貿易試験区(大連)研究院等との学術交流研究会を開催する。 3.補充調査報告を2017、18年度に続き、『社会システム研究』(2020年3月、立命館大学機関リポジトリを通じてインターネット上で公表)にまとめる。また、3年間の研究成果をもとに、2019図們江論壇(2019年9月、中国・延吉)、韓国東北亜細亜経済学会(2020年2月、韓国)等において研究報告を行うとともに、学術論文を執筆する。 4. 3年間の研究成果を最終報告書としてまとめる。
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Causes of Carryover |
国外研究協力者を招聘し、国有企業改革をテーマにした国際学術セミナーを開催したが、 国際航空運賃が予定額を下回ったことなどから、次年度使用が生じた。2019年度請求額と合わせて、2019年8月に計画している中国遼寧省大連市および丹東市における実態調査(4泊5日、松野、曹)経費、および学会発表等の旅費に使用する。
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Research Products
(10 results)