2021 Fiscal Year Research-status Report
国際産業連関表を用いたグローバルバリューチェーンの実証分析
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17K03749
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Research Institution | University of Niigata Prefecture |
Principal Investigator |
黒岩 郁雄 新潟県立大学, 国際経済学部, 教授 (40403612)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | グローバルバリューチェーン / 経済統合 |
Outline of Annual Research Achievements |
国際産業連関表(OECD ICIO)を使ったグローバルバリューチェーン(GVC)に関する論文をJournal of Economic Structuresに投稿し、採択された(2021年5月に掲載)。同論文は、カンボジアの農業部門を対象にバリューチェーン・マッピング(上流および下流)の新しい分析手法を提示したものであり、尾崎のユニットストラクチャー分析を上流だけでなく、下流のバリューチェーンにも適用した。具体的には、レオンチェフ逆行列を使った上流の分析に対して、下流の分析にはゴッシュ行列を使った。 次年度に出版予定のGVCに関する英文書籍の執筆準備を進めた。同書籍ではイントロダクション、GVC参加、GVC高度化の三章を担当しており、本年度は計算作業及び一部原稿の執筆を行った。このなかで、イントロダクションは当初の原稿を大幅に改定し、米中貿易摩擦や新型コロナのGVCに対する影響について詳しく触れた。 GVC参加については、すでに多くの論文が出版されているため、どの分析手法を使うか判断するのが難しい。事実、これまでKoopmans et al.(2014)の分析手法を使って計算作業を進めていたが、Borin and Mancini(2020)が出版されて流れが大きく変わった。検討した結果、Borin and Manciniの分析手法が優れていると判断し、現在、Borin and Manciniを使った計算作業を進めている。 GVC高度化については、スマイルカーブ、産業集積、輸出構造のハイテク化などを念頭に高度化の指標を作成している。高度化の指標は、参加の指標以上に作成が難しいが、試行錯誤を繰り返して、適切な指標を作成するつもりである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
進捗状況が遅れている原因は下記の通り。 (1)データが大きく、複雑な計算を伴う分析があった。そのため、スーパーコンピュータを使うなど工夫を凝らしたが、予想以上に多くの時間を費やした。 (2)新型コロナの影響のため、海外出張ができず、現地情報や統計データの収集などの面で制約があった。
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Strategy for Future Research Activity |
計算作業をできる限り早く終わらせ、後半以降は書籍の原稿執筆に専念する予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナの影響で海外出張ができず、現地のデータや情報収集ができなかった。次年度は新型コロナの感染状況も改善し、海外出張が可能になると期待している
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Research Products
(1 results)