2017 Fiscal Year Research-status Report
企業ミクロデータに基づく拡張型国際産業連関表の作成と付加価値貿易分析への応用
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17K03750
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Research Institution | Institute of Developing Economies, Japan External Trade Organization |
Principal Investigator |
猪俣 哲史 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 新領域研究センター, 上席主任調査研究員 (70450476)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 国際産業連関表 / 企業の異質性 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度の主な目的は、現行の手法について文献サーベイとヒアリングを中心に確認・整理することである。対象とした文献は、「交付申請書」の研究計画に記した通り、当該分野で中心的な手法を提唱する諸論文である。総じて、企業ミクロデータを用い、所有形態(国内企業vs外国企業)と企業規模(大企業vs中小企業)という2軸によって産業連関表の枠組みに企業の異質性情報を組み込むといった方法が一般的であった。ただし、OECDなどの国際機関は、企業特性別貿易統計など専用データベースを開発し、分析対象国をEU諸国と米国、メキシコへと大きく拡張させることに成功している。 これら文献サーベイを補完するため、OECDの統計ワークショップに参加した。幸い、各統計の作成担当者(=文献の執筆者)も同ワークショップへ参加していたので適宜ヒアリングを行い、手法に関する疑問点などについてフォローアップ調査した。 また、7月には国際連合統計局のHavinga国民経済計算部長と面会した。国際連合統計委員会は、2015年より様々な国/産業における企業ミクロデータの収集整備を行っており、国際産業連関データへの統合を目指した統計インフラ構築を押し進めている。2018年には統計作成ガイドラインを『GVC分析用統計ハンドブック』として刊行予定であり、その進捗状況について、責任者である同部長にヒアリングを行った。国連統計局で進行中の最新動向について情報収集できたのは非常に大きな成果であった。 最後に、ブラジル・サルバドールで行われた都市地理学会に参加し、同学会の主催者であるローザンヌ大学Rozenblat教授と面会した。同教授は多国籍企業ネットワーク分析の世界的権威であり、その主要な分析データであるOrbisの本研究に対する利用可能性について説明を受けた。また、共同研究の可能性についても意見交換を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では、文献サーベイ/ヒアリングを通した推計手法に関する情報収集に加え、実際の統計作成作業に関する詳細、ことにデータ間のコード対応/マッチング作業、サーベイの方法などについて、既存データを確認しながら調査する予定であった。しかし、統計作成担当者の時間が取れなかったため、見合わせることとした。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度以降は、我が国の統計作成状況を精査し、最終的には試作データを用いた分析を論文に取りまとめて国際会議・学会等で報告する予定である。詳細は「交付申請書」の研究計画に記した通りであるが、今後の研究環境の変化として、平成30年度あるいは31年度から2年間、OECDへ出向する可能性がでてきた。これが実現した場合、OECDでの当該分野に関する最新の研究動向に触れることができ、また、今年度見合わせた統計作成作業に関する詳細(上述)についてのフォローアップが期待できる。 現段階においては未確定の案件であるが、その可能性を鑑み、準備を進めて行きたい。
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Causes of Carryover |
平成29年度の当初の計画より旅費が若干増えたため、念のため20万円前倒し請求したことの影響である。突出分は2万円弱ほどであったため、平成30年度以降は当初の計画通り予算執行の予定。
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