2019 Fiscal Year Research-status Report
South Korea and Taiwan's challenges in completion of catching-up and transition to innovation-led economies
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17K03752
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Research Institution | Institute of Developing Economies, Japan External Trade Organization |
Principal Investigator |
佐藤 幸人 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 研究推進部, 部長 (90450460)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉岡 英美 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(法), 教授 (80404078)
安倍 誠 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 新領域研究センター, 研究センター長 (90450478)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | キャッチアップ過程 / 日韓関係 / 鉄鋼業 / IT産業 / 半導体産業 / フラット・ディスプレイ・パネル産業 / 財閥 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究分担者の安倍は、本研究事業の成果を採り入れながら、「韓国鉄鋼業のキャッチアップ過程――日本のイノベーションとの関わりを中心に――」(九州大学大学院経済学府博士学位請求論文 2020年3月)において、韓国が生産量、製品の高度化の両面で日本へのキャッチアップを果たしたことを明らかにし、その過程を検討した。キャッチアップ過程の最終段階は、本研究事業の議論の焦点でもある。 安倍は、「韓国財閥はいま――文政権の選択は『狙撃』か『ワンチーム』か?――」(『中央公論』2019年12月号 92-99ページ)も発表し、現在の韓国における財閥と現政権の関係を論じている。財閥は韓国の急速なキャッチアップを担ったが、集中と家族経営という特質をともない、それが批判を受けている。しかし、今なお韓国経済の主たる担い手である財閥に、現政権がどこまで改革を迫れるかという問題を提起している。 研究分担者の吉岡は、「IT産業における日韓関係の新展開――半導体・FPDを中心に――」を執筆した。これは安倍誠編『日韓経済関係の新たな展開』(日本貿易振興機構アジア経済研究所,2020年に掲載予定)に収録される予定である。半導体とフラット・ディスプレイ・パネルは韓国のキャッチアップ型の発展と、キャッチアップからの卒業を代表する産業である。本稿では、これら産業がポスト・キャッチアップ段階に至って、韓国と日本の関係がどのように変容したかを、その製造装置や部品・材料に焦点を当てて分析している。 研究協力者の伊藤は、岸本千佳司『台湾半導体企業の競争戦略――戦略の進化と能力構築――』(日本評論社 2017年9月)の書評を、『日本台湾学会報』第21号(2019年7月)に発表した。半導体産業は、台湾においても代表的なキャッチアップ型の産業である。伊藤は書評において、本研究事業の産業を中心とした視角からコメントを行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2019年度は研究会を、5月、8月、10月に実施している。台湾に関しては、研究会での議論を通して、研究成果の骨組みはつくったものの、それを肉付けする作業が進まなかった。 2019年度の研究の進捗に遅れが生じた最大の理由は、代表者の佐藤が10月に研究部門から、研究をサポートする部門に異動したことである。それによって、研究に充てる時間が減少することになった。また、佐藤は2020年1月に行われた台湾の総統及び立法委員選挙の研究にも携われることになり、本研究事業に割ける時間はさらに限られることになった。 韓国に関しては、分担者の安倍と吉岡は、それぞれの成果に本研究事業の議論を採り入れている。本研究事業の議論をまとめ、発表することは、今後の課題として残されている。
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Strategy for Future Research Activity |
計画を引き続き進める。台湾に関しては、骨組みは出来ているので、それを肉付けするため、事例の分析を行っていく。次に、それを踏まえて、ひとつの論稿にまとめる。 韓国に関しては、個別におこなってきた研究を、本研究事業の成果としてまとめ直す。
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Causes of Carryover |
研究協力者の伊藤信悟が2019年度も本務多忙のため、出張に行くことができなかったことが、差額が生じた主たる原因である。また、佐藤と安倍の出張も、日数が予定よりも少なかったため、差額が生じることになった。 差額の使途としては、2020年度において、伊藤の出張費に充てる、第2に吉岡の東京への出張費を増額する、第3に佐藤と安倍の出張費を追加する、第4に資料収集を積極的に行うなどを考えている。しかしながら、新型コロナウィルスの感染拡大のため、実際に計画通りに使用できるかは現時点では不明である。
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Research Products
(2 results)