2020 Fiscal Year Research-status Report
South Korea and Taiwan's challenges in completion of catching-up and transition to innovation-led economies
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17K03752
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Research Institution | Institute of Developing Economies, Japan External Trade Organization |
Principal Investigator |
佐藤 幸人 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 研究推進部, 部長 (90450460)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉岡 英美 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(法), 教授 (80404078)
安倍 誠 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 新領域研究センター, 研究センター長 (90450478)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 日韓経済関係 / キャッチアップ / 半導体 / 鉄鋼 / 米中対立 / サプライチェーン |
Outline of Annual Research Achievements |
過去1年間における本研究を反映した成果としては、まず安倍誠編『日韓経済関係の新たな展開』(アジア経済研究所 2021年)に収められた3本の論文がある。本書はタイトルにあるように、日韓経済関係の近年の展開を検討しているが、それはこれまでの日韓経済関係を踏まえたものであり、そこでは本研究のテーマである韓国の日本に対するキャッチアップ及びキャッチアップ後の段階への移行が深く関わっている。 序章の安倍「日韓経済関係の過去と現在」は、このような移行の過程を概観している。第2章の吉岡英美「IT産業における日韓関係の展開―半導体・FPD向け部材・製造装置に着目して―」は、先にキャッチアップを遂げた半導体及びフラットディスプレイパネルの部材や設備のキャッチアップを分析している。第3章の安倍「鉄鋼業をめぐる日韓関係―協力から本格的な競合へ―」は、鉄鋼業における韓国のキャッチアップからキャッチアップ後への移行を解明している。安倍は同様の分析を、ソウル大学日本研究所の『日本批評』第24号に、韓国語でも発表している。 台湾に関しては、より間接的ながら、現状分析のなかに本研究の議論を反映している。特に世界的に注目されることになった半導体産業については、本研究の議論を踏まえながら論じている。そのような成果として、佐藤幸人の「苦悩のもとはウイルスか、米中対立か―台湾経済の立て直しと台湾企業の軌道修正―」(東大社研現代中国研究拠点編『コロナ後の東アジア―変動の力学―』東京大学出版会 2020年)、「米中対立下の台湾エレクトロニクス産業」(『月刊グローバル経営』第443号 2020年)、伊藤信悟の「サプライチェーンの見直しと中国の新構想―日本に必要な多面的努力―」(『米中デカップリングとサプライチェーン』公益社団法人日本経済研究センターからの委託研究報告書 2021年)がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
代表者の佐藤は2019年10月に研究支援を所管する研究推進部の部長となり、2020年度も引き続きその任にあったため、研究活動に充てられる時間が限られることになったことが研究の遅れの原因の一つである。 もう一つの原因は、コロナ禍のため、韓国や台湾に行き、調査を行うことができなかったため、資料の収集やアイデアの創出・深化が進まなかったことである。
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Strategy for Future Research Activity |
代表者の佐藤が2021年4月に研究部門に復帰したことから、遅れの原因の一つは解消された。今後はより活発な研究活動を行っていけると考えられる。 一方、コロナ禍によって韓国及び台湾での調査ができない状態は基本的に続いている。今年度の後半の状況は現時点では不透明だが、日本で何ができるのかを改めて検討してみたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染拡大のため、韓国と台湾を含む海外での調査ができなかったことが最大の理由である。日本国内での移動をともなう活動も困難であった。 韓国や台湾に渡航することが可能になれば、直ちに行う。それが難しい状況が続いた場合、何らかの代替手段を講じ、その経費として用いる。
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