2018 Fiscal Year Research-status Report
東アジアにおけるイノベーション・モデルのアメリカ化:医療機器産業の事例研究
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17K03753
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Research Institution | Institute of Developing Economies, Japan External Trade Organization |
Principal Investigator |
川上 桃子 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 地域研究センター, 次長 (30450480)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 東アジア / イノベーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,東アジアにおけるシリコンバレー型イノベーション・モデルの影響力の高まりを「イノベーション・モデルのアメリカ化」現象としてとらえ,東アジアにおけるそのインパクトと,この現象の背後で働いているアクター間関係を分析する。2018年度は,以下の分析を進めた。第1に,台湾におけるシリコンバレー志向型の起業・イノベーション政策の展開とその背後で働くアクター間関係に関する論考を執筆した。この論文では,主に台湾の政府,シリコンバレーの台湾出身のハイテク移民らの役割に注目して,政策レベルでの「イノベーションのアメリカ化」を考察した。これは,2019年度中に書籍の一章として刊行できる見通しである。第2に,前年に続き,台湾におけるシリコンバレーとのリンケージを活用した医療機器イノベーション・コミュニティの創出・育成の試みに関する調査を行った。台湾のイノベーション政策関係者ら,スタートアップ関係者らへのインタビューを進めたほか,シンガポールの同セクターにも分析を広げ,シンガポールにおけるバイオデザインプログラムの導入過程と現状に関する調査を行った。第3に,シリコンバレーでの調査を行い,大学やアクセラレータといったアクターのアジア展開についての調査を行った。第4に,台湾をはじめとする東アジアにおいて,スマートフォンを活用したモバイルヘルスのスタートアップが出現しつつあることを踏まえて,派生的な研究テーマとして,スマートフォンのイノベーション・ネットワークと,同産業にみる米国-アジア間リンケージに関する考察も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査は概ね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
台湾における政策レベルの「イノベーションのアメリカ化」現象の考察は,2019年度中に刊行できる見込みである。2019年度は,医療機器の事例に関する論文執筆を行う予定である。また,これまで分析を行ってきたスマートフォンについても,モバイルヘルス分野のスタートアップ登場の背景として引き続き分析を行いたい。
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Causes of Carryover |
米国,シンガポールでの出張の日程を当初の計画より短縮する必要が生じた。2019年度にこれらの調査を実施する予定である。
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