2018 Fiscal Year Research-status Report
中国の地域経済一体化の実証研究:一体化指数構築と地域の集中・特性・格差の実態解明
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17K03754
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Research Institution | The Economic Research Institute for Northeast Asia |
Principal Investigator |
穆 尭芋 公益財団法人環日本海経済研究所(調査研究部), 調査研究部, 研究主任 (00551417)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南川 高範 公益財団法人環日本海経済研究所(調査研究部), 調査研究部, 研究員 (20732415)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 地域経済 / 地域開発 / 一体化 / 中国経済 / 一帯一路 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、中国の地域経済と地域政策に関する単著『中国の地域開発政策の変容-地方主体の展開と実態』を日本評論社より出版した。中華人民共和国建国(1949年)から現在までの約70年の中国地域開発の歴史を振り返り、2008-2015年の期間を「地方主体の地域発展戦略」期として提起し、既存の議論を踏まえて中国の地域開発政策の新しい時代区分を行った。「地方主体の地域発展戦略」期は、中央主導ではなく、地方政府が地域開発の中心的な役割を果たす唯一の時期であり、その背景、全体像、内容と実態などを明らかにした。 また、2015年より現在までの政策展開は、「一帯一路」に代表されるように、先進地域の沿海部と後進地域の内陸部とのアクセスを利便化し,財・サービス・労働・資本・情報などの生産要素の自由な移動を促進し、京津冀、東北振興、長江経済帯、粤港澳大湾区などの主要政策と合わせて国内地域一体化を促す時代に変貌している。「一帯一路」は中国の国際構想のみならず、国内の地域一体化政策としても重要な意味を持ち、単独の政策ではなく中国全体の地域戦略の流れの中に位置づけられている。この研究は2019年夏に出版予定の編著『「一帯一路」経済政策論-プラットフォームとしての実像を読み解く』に取り入れている。 このように、本年度は中国地域経済の全体像と地域一体化の政策展開を中心に分析した。また、アメリカでへの在外研究(~令和元年9月)を実施し、市場経済が高度に発達し、生産要素の地域間移動が自由に行われるアメリカの事例研究を通じて、地域経済一体化への理論的・実践的な理解を深めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は国外の研究機関と交流、意見交換等活発に行った。2018年4月に新潟で吉林大学と共同で中国東北地域の人口構造や地域開発に関する研究会を開催した。9月に東京でERINA中国地域経済研究会を開催し、地域一体化、地方財政、農村振興、インフラ整備、物流の発展などの観点から中国地域経済の変化を議論した。10月に新潟で吉林社会科学院と共同研究会を開催し、吉林省における工業発展、環境保全、農業振興などについて研究発表を行った。11月には中国経済経営学会2018年度全国大会で企画分科会を開催し、「一帯一路」による中国地域経済への影響について中国地域経済研究会のメンバーを中心に報告した。 在外研究中のため、一体化指数の計算がやや遅れている。研究分担者で一体化指数の分析に取り組む南川高範研究員は中国経済の省市区間相互作用や経済一体化に関する研究を進めており、2019年夏に開催されるアジア政経学会春季大会で報告する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き一体化指数の構築に取り組むほか、欧米の文献を中心に財・サービス・労働・資本・情報などの生産要素の移動に関わる地域一体化の理論的な考察を行いながら、中国の地域経済一体化の発展の方向性や課題などを検討していく。
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Causes of Carryover |
在外研究中のため、予定していた中国への現地調査や専門家の招聘が実施できず、次年度使用額が生じた。アメリカでの研究は中国の地域経済一体化の理論的・実践的な実例を収集し、英語文献の収集や現地調査を通じて中国地域経済の展開の方向性について理解を深めた。次年度以降は補助スタッフの雇用を通じてデータの収集や分析を強化するとともに、現地調査や学会発表及び国際研究集会の開催などを行い、本研究課題の分析を深めていきたい。
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Research Products
(11 results)