2019 Fiscal Year Research-status Report
中国の地域経済一体化の実証研究:一体化指数構築と地域の集中・特性・格差の実態解明
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17K03754
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Research Institution | The Economic Research Institute for Northeast Asia |
Principal Investigator |
穆 尭芋 公益財団法人環日本海経済研究所(調査研究部), 調査研究部, 研究主任 (00551417)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南川 高範 公益財団法人環日本海経済研究所(調査研究部), 調査研究部, 研究員 (20732415)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 地域経済 / 中国経済 / グローバル化 / 地域一体化 / 地域政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、編著『「一帯一路」経済政策論-プラットフォームとしての実像を読み解く』を出版した。内外から大きく注目されている中国の「一帯一路」構想について、国際関係の側面ではなく、中国国内経済一体化の側面からその実態を検討した。国内の地域開発政策、地方財政、インフラ整備、農村・農民、人流・物流、内陸国境、海上シルクロード、政策評価などの観点から、「一帯一路」による中国国内経済への影響を分析した。「一帯一路」は国際構想のみならず、国内経済政策のプラットフォームとしての一面も持っていることを明らかにした。
また、アメリカ南部地域への在外研究を実施した。市場経済が高度の発達し、生産要素の地域間移動が自由に行われるアメリカの実態を調査し、地域経済一体化への理論的・実践的な検討を加え、中国の地域経済一体化研究に重要な参考を提供した。帰国後、中国、アメリカ、EU、ロシア、日本などの地理的・経済的な大国を対象に、それぞれの国内地域の一体化の現状や実態を研究するワークショップを立ち上げ、複数メンバーによる共同研究を続けている。
一体化指数の作成に関連し、分担者の南川高範は中国のいくつかの典型的なフローの経済指標を指定して主成分分析を適用し、先進性を代表する指標を作成してローカルモラン係数の分布を地図に重ねた。その結果、沿海地域から重慶、四川に向かって経済の一体化が進んでいる一方、山西、安徽、広西は一体化の流れに乗り遅れているという結果が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究期間中にアメリカへの在外研究を実施したため(平成30年10月から令和元年9月まで)、当初予定していた研究計画の一部に遅延が生じた。在外研究は先進国における地域一体化やアメリカ南部の経済実態を調査するもので、中国の地域経済一体化の将来を展望する上で本研究課題に大きな意味を持つものである。今年は最終年度であるが、研究計画を完全に遂行するために、一年間の延長を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き一体化指数の構築と評価に注力し、地域別の指数の分析と適用に取り組む。また、中国のみならず、アメリカ、EU、ロシア、日本などの大国・地域を対象に、それぞれの国内地域経済の構造や展開過程を分析し、発展段階の異なる国や地域の一体化の実態を考察する。これらの事例を用いて中国地域経済との比較検討を行う。理論面では、グローバル化における収束・分散の観点から地域経済の変動を把握し、統計的なデータや手法を用いて一体化による地域の影響を考察する。
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Causes of Carryover |
補助事業期間中にアメリカへの在外研究を実施したため、当所予定していた研究計画の一部に遅延が生じた。 新型コロナウイルスの影響で海外出張が実施できないなか、主に日本国内の研究活動(学会・研究会・研究打合せの旅費、物品費等の支出が考えられる)に注力する。また、中国のみならず、アメリカ、EU、日本、ロシアなどの国内地域経済を分析するためのワークショップを開催し、中国の地域一体化との比較検討を試みる。
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Research Products
(18 results)